湿潤療法の歴史 | きずときずあとのクリニック 豊洲院 | 東京都江東区の形成外科・美容外科

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湿潤療法の歴史

2018.03.22

以前もおはなししていた湿潤療法の続きです。

 

湿潤療法ってなんぞや?

 

 

ところで、昔って湿潤療法なんてなかったですよね。

 

皆さんは子供の時にどんな治療してましたか?

 

 

自分は・・・

かさぶたになるのをまつ

 

絆創膏を貼る

 

赤チンをつける

 

アロエを塗られる

 

父が口に含んだ日本酒を吹きかける

 

タイガーバームを塗る

 

 

などでした。

 

今見ると笑っちゃいますけど、正直真面目な話です。

 

 

でも、どうしてこういう治療をしてきたかと言うと、

 

「傷の治療には乾燥が大事」

 

ということが考えがあったからなんですね。

 

 

これは古典的乾燥療法といって、最初に言い出したのはヒポクラテスと言われています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒポクラテス

 

紀元前の話ですよ、すっごい古いですね。

 

でも、この乾燥療法が本当にヒポクラテスが言ったのかどうかは不明な点もあるそうです。

ヒポクラテスの言ったことが間違って伝わったとも言われています。

 

 

そして時代は大きく飛びますが、18世紀からは、戦争の影響もあって、たとえば火薬などでダメージを受けたものは早めに取ってしまうことが生き残るためには必要という「デブリードメント」という考えも出てきました。

 

その後、細菌や微生物というものがわかってきました。

 

ばい菌というものがいて、それが感染や化膿を引き起こしているということがわかってきたんですね。

 

 

このころは、傷を治すためには、とにかくばい菌を抑えることが大事だという考えが強くなっていきました。

 

だから乾燥させて、消毒薬をバンバンかけるっていうのが主流だったんですね。

 

そこから湿潤療法へどうやって変わっていったかというと、やけどの治療が大きなきっかけでした。

 

1942年にココナットグローブ火災という大きな火事が起きました。

 

http://p.booklog.jp/book/8921/page/306240クリックすると別のサイトに飛びます

 

ここでCOPEという医師は何百人のやけどの患者さんを見ることになりました。

そこで、

「やけどの水ぶくれ取って、乾燥させた方がいいって言われてたけど、こんなにたくさんの患者さんの水ぶくれ取れないよ・・・」

 

「あれ、水ぶくれ取らないでいたら、こっちの方が治りよくない??」

 

 

 

そして1962年、動物実験で、湿潤環境のほうが傷の治りが早いという報告がでました。

 

ですのでこの湿潤治療は、

Moist Wound Healing

とか

Advanced Wound Care(先進的創傷ケア)

などと言われます。

 

その後、Wound bed preparation(母床形成)や、TIMEコンセプトという理論が出てきていますが、この辺りはまた今度で。

 

 

しかし、自分が赤チンとか使われてた頃は、湿潤療法という考えが出てきてから10年以上たった頃です。

 

そして自分が医者になった頃だって、まだ乾燥させるとか、消毒をバンバン使うって考えは一般的でしたね。

 

日本の創傷治療って遅れていたんですね。

 

 

でもどうしてこんなに遅れるかというのも理由はあると思います。

 

 

長くなりましたので、他の話はまた今度で。

 

 

 

 

 

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記事執筆者

院長村松英之
きずときずあとのクリニック豊洲院院長 村松英之

資格

日本形成外科学会専門医
日本熱傷学会専門医
日本創傷外科学会専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医