はじめに
脂肪吸引は、体の特定の部位に蓄積した脂肪を取り除き、ボディラインを整える美容外科手術の一つです。この手術は、以前と比べて非常に多くの方が受けるようになり、人気の高い施術となっています。
しかし、多くの方が「脂肪吸引は傷跡が残らない」と思っていることが多いですが、実際には術後に小さな傷跡が残ることがあります。特に関節部分のように張力がかかりやすい部位に傷ができる場合、肥厚性瘢痕になりやすく、赤く盛り上がった傷跡がなかなか治らないことも少なくありません。また、これらの傷跡は左右対称にあることがほとんどで、目立つことがあります。さらに、左右対称の傷跡が脂肪吸引の傷跡だとわかってしまうこともあります。
脂肪吸引についての一般的な知識
脂肪吸引は、体のラインを整えるために行われる施術で、以下のような特徴があります。
- 対象部位:
- 腹部、太もも、二の腕、背中、顔などさまざまな部位に対応。
- 方法:
- カニューレと呼ばれる細い管を挿入し、脂肪を吸引します。
- 傷跡はカニューレを挿入する小さな切開部に残ります。
- 術後:
- ダウンタイムがあり、浮腫みや内出血が数週間続くことがあります。
- 圧迫ガーメントの着用が推奨され、回復期間中のサポートとなります。
傷跡が問題になる理由
- 関節部分にできる傷:
- 膝裏や肘付近など、張力がかかりやすい部位に傷ができやすいです。
- このような部位では、肥厚性瘢痕になりやすく、赤く盛り上がることがあります。
- 小さいけれど目立つ傷跡:
- 傷跡が小さくても、赤みが残ると目立ちやすくなります。
- 左右対称にできることが多い:
- 傷跡が対称的に配置されることが多く、意識されやすい傾向にあります。
- 左右対称の傷跡が脂肪吸引の傷跡だとわかってしまうこともあります。
- 術後ケアの重要性:
- 適切なケアを怠ると、傷跡が治りにくくなる可能性があります。
傷跡の種類
脂肪吸引術後に見られる主な傷跡のパターン
- 赤みが残る場合
- 色素沈着
- 盛り上がった傷跡(肥厚性瘢痕)
- 白く目立つ傷跡
当院での治療法
- 内服治療:リザベンや抗炎症薬を使用し、瘢痕の形成を抑制します。
- 外用薬:ステロイド軟膏やビタミンA、美白成分を含むクリーム、シリコンジェルシートを処方します。
- レーザー治療:フラクショナルレーザー、ロングパルスNd:YAGレーザー、Qスイッチレーザー、IPL、POTENZAを使用します。
- 注入治療:ケナコルト注射、ボトックス注射、ヒアルロン酸、PN、PDRNを使用し、瘢痕の改善を促します。
症例の提示
症例1:35歳女性 左鼠径部(太もものつけね)脂肪吸引術後1カ月の肥厚性瘢痕
- 病名:色素異常を伴う瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド
- 治療内容:ロングパルスNd:YAGレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザーを用いての治療
- 治療期間・回数:1ヶ月に1回、その後定期的な通院を経て1年から2年
- 費用(自由診療):総額20,000円~200,000円(レーザー代、自宅でのスキンケア費用等を含む)
- リスク・副作用:みずぶくれ、かさぶた形成、痛みによる不快感、術後の赤み、腫れ、あざ、出血、熱傷、発疹、瘢痕、軽い出血、色素脱失、色素沈着など。またごく稀に治療箇所の色が周囲の色に比べて一過性に明るくなる、又は暗くなる可能性があります
症例2:27歳女性 右肩背部脂肪吸引術後5年のケロイド
- 病名:色素異常を伴う瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド
- 治療内容:ロングパルスNd:YAGレーザー、フラクショナルレーザーを用いての治療
- 治療期間・回数:1~2ヶ月に1回、その後定期的な通院を経て1年から2年
- 費用(自由診療):総額20,000円~200,000円(レーザー代、自宅でのスキンケア費用等を含む)
- リスク・副作用:みずぶくれ、かさぶた形成、痛みによる不快感、術後の赤み、腫れ、あざ、出血、熱傷、発疹、瘢痕、軽い出血、色素脱失、色素沈着など。またごく稀に治療箇所の色が周囲の色に比べて一過性に明るくなる、又は暗くなる可能性があります
院長より
脂肪吸引術後の傷跡でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。予防的な治療も可能ですので、手術を予定されている方も早めにご連絡いただければ幸いです。専門的な治療とケアで、美しい仕上がりをサポートします。
記事執筆者
きずときずあとのクリニック銀座院院長 野村 美佐子