ボトックス注射とは
ボトックス(ボツリヌストキシンA)は筋肉の動きを一時的に抑える薬です。
本来はしわ治療などで知られていますが、傷跡の予防や治療にも効果があります。
- 手術直後の予防:筋肉の引っ張りを抑え、瘢痕が広がりにくくなる
- 既存の瘢痕治療:痛み・かゆみ・硬さをやわらげる
対象となる傷跡
- 手術直後の瘢痕(顔や関節など筋肉の影響が強い部位)
- 肥厚性瘢痕
- ケロイド
- 痛みやかゆみのある瘢痕
- 硬くて動かしにくい瘢痕
治療の仕組み
- 筋肉作用:周囲の筋肉をリラックスさせ、創縁の張力を減らす
- 線維芽細胞作用:TGF-β1発現抑制 → 線維芽細胞の過剰な増殖やコラーゲン産生を抑える
- 神経作用:かゆみや痛みの伝達を抑え、症状を軽減
治療の流れ
- 診察で瘢痕の部位や症状を評価
- 極細針で数か所に分けて注射
- 数分で終了
- 手術直後は創閉鎖時〜抜糸のタイミングで投与
- 既存瘢痕では数か月おきに繰り返す
効果の持続
- 効果は3〜4か月程度
- 1回の投与で十分なことも多い
- 硬さやかゆみが強い場合は数回繰り返すと症状が安定
- ケロイドなど症状の強い場合は、症状を抑えるために1か月おきに最大3回まで連続で行うこともあります
ダウンタイム・副作用
- 注射部位の赤み・腫れ・内出血(数日で改善)
- 軽い痛みや違和感
- 顔面の表情筋への影響(一時的に笑いにくい・眉が動かしにくいなど)
- ごくまれに頭痛
- 効果は時間とともに消失するため、基本的に元に戻ります
メリット・デメリット
メリット
- 手術直後に投与 → 瘢痕を目立ちにくくする
- 既存瘢痕では痛み・かゆみ・硬さの改善が期待できる
- 線維芽細胞に働きかけることで、瘢痕形成そのものを抑制する可能性
デメリット
- 効果は一時的で、繰り返しが必要になる場合がある
- 赤みや色調には効果が乏しい
- 表情筋に影響する部位では違和感が出ることがある
よくある質問(Q&A)
手術直後でも使えますか?
はい。手術直後〜抜糸のタイミングで注射すると、傷が広がりにくくなります。
すでにできた瘢痕にも効果がありますか?
はい。痛み・かゆみ・硬さを軽減できます。ただし赤みや厚みそのものの改善は限定的です。
繰り返す必要はありますか?
症状が強い場合は数か月おきに繰り返すと安定します。ケロイドの場合は1か月ごとに3回まで連続投与することもあります。
ケナコルトやレーザーと併用できますか?
はい。特にケナコルト+ボトックスの併用は有効性が高いとされています。
表情が不自然になることはありますか?
適切な量と部位を守れば問題ありませんが、一時的に笑いにくい・眉が動かしにくいと感じることがあります。
線維芽細胞にはどんな影響がありますか?
ボトックスはTGF-β1を抑えて線維芽細胞の過剰な働きを抑制し、瘢痕の盛り上がりを抑えやすくします。
赤みにも効果はありますか?
赤みに対しては効果が乏しいため、レーザー治療をおすすめします。
子どもにも使えますか?
小児には慎重に適応を判断します。まずは他の治療を優先します。
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