リストカット跡(リスカ)・根性焼きの傷跡に対するおすすめの治療法 戻し植皮®術 | きずときずあとのクリニック 豊洲院 | 東京都江東区の形成外科・美容外科

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リストカット跡(リスカ)・根性焼きの傷跡に対するおすすめの治療法 戻し植皮®術

戻し植皮®術によるリストカット跡・根性焼きの傷跡治療

リストカット跡・根性焼きの傷跡(2年以上経過して傷跡が白く落ち着いている状態)に対する治療法には、レーザー治療と手術があります。
手術療法には3種類あり、そのうちの一つに「戻し植皮®術(もどししょくひじゅつ)」があります。

戻し植皮®術とは?

※「戻し植皮®」(登録第6562000号)は、きずときずあとのクリニック豊洲院の登録商標です。

戻し植皮®術は「当院でのみ」行っている治療法です。

戻し植皮®術は、リストカット跡・根性焼きの傷跡の上にある皮膚を薄く切り取り、採取した部分に残っている凸凹した皮膚(真皮:皮膚の深いところ)を平らにしてから、採取した皮膚を切り取った場所に戻す手術です。


採取した皮膚に太い傷跡が残っている場合には除去した上で、皮膚を90度回転させてから戻すので、リストカット跡には見えない傷跡へ印象を変えます。


なお、手術では全身麻酔(現在では他の施設でお願いしています)、笑気麻酔、局所麻酔を使用してできるだけ痛みのコントロールを行なっております。

また、戻し植皮®術では手術後(腕一面のような広範囲)安静を目的として数日から1週間程度のギプス固定を行なって頂いております。

術後1か月間は処置のため頻繁な外来通院をお願いしています。さらに傷が治った後は傷跡を目立たなくするための「スキンケア」を約1年続けていただきます。

手術時間:約2時間~(広範囲では約3時間)
起こりうる合併症:手術に伴う一般的な合併症(出血・血腫*1・細菌感染・痛み・腫れなど)、まれに引きつれ・肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:傷跡の盛り上がり)・薬のアレルギー・残った糸が後から出てくるなど
*1血腫:皮膚の下に血が溜まってしまうことで、傷の治りが悪くなる要因となる

是非読んでいただきたい掲載一覧

(画像)戻し植皮®術の症例画像

戻し植皮®術の目的

戻し植皮®術は、リストカット跡を「軽いやけど痕のような印象に変えること」を目的としています。
リストカット跡が残っているために、仕事への不利が生じる・腕が出せない・人目が気になる・傷跡を見るとつらい記憶が蘇る・子供や職場にどう説明すればよいか迷うなどといった、長年抱えているお悩みが解決する可能性は高いです。

戻し植皮術
(図)戻し植皮®術イメージ

戻し植皮®術のメリット・デメリット

戻し植皮®術のポイントは「傷跡が落ち着くまで時間はかかるが、リストカット跡とは分からない傷跡に変え、他の治療法に比べて目立ちにくい傷跡にできる」です。
戻し植皮®術に対するメリット・デメリットには、以下のような点があります。

<メリット>

  • 他から皮膚を持ってくる必要がない
    これまで行われていた「植皮術」はお尻・背中から皮膚を持ってきていましたが、「戻し植皮®術」では、もともとあった場所の皮膚を利用するので、他の部分を傷つける必要がありません。
  • 色の違いが出にくい
    植皮には同じ部分の皮膚を使うので、皮膚の色の違いが目立つということはありません。
  • 太い傷跡・広範囲のリストカット跡にもOK
    他の治療では、太い傷跡や広範囲のリストカット跡には効果が少なかったり適応とならなかったりすることがありますが、戻し植皮®術ではどんなリストカット跡でも対応可能です。
  • リストカット跡特有の横方向の傷跡がなくなる
    横方向のリストカット跡がある皮膚を採取した後、90度回転させてから戻すので傷跡が縦方向となり、一見してリストカット跡とは分からない傷跡にすることが可能です。
  • 傷跡の凸凹や傷の盛り上がりがなくなる
    採取した皮膚に残った太い傷跡は除去したり、採取後に残った凸凹な部分を平らにしたりしてから、皮膚を戻します。
採取した皮膚
(画像)戻し植皮®術で採取した皮膚
  • 引きつれなどの合併症が起こりにくい
    リストカット跡はよく動かす部位(手首~腕)の傷跡なので、一般的な手術・縫合では引きつれを起こしやすいのですが、戻し植皮®術は同じ部分の皮膚を戻すことにより傷口の治りが良く、引きつれを起こしにくい治療法となります。

<デメリット>

  • 術後安静が必要・落ち着くまで少し時間がかかる
    術後1週間は傷口を濡らすことができず、なお腕一面のような広範囲の方に対しては術後安静を目的として数日から1週間程度のギプス固定を行なって頂いております。また、とても薄い皮膚を切り取り・戻すので、術後に赤み・湿疹・色素沈着などが起こりやすく、皮膚が落ち着くまで1年程度かかります。
  • 術後1か月間は、数回の外来通院が必要
    傷の処置のため、術後1か月は頻繁に何度か通院していただく必要があります。
    通常、術後1か月以降は、経過観察のため月1回の診察、その後は2か月おき、3か月おきの通院をお願いしています。
  • 1年間は念入りなスキンケアが必要
    術後1年程度は、皮膚のダメージ補修や色素沈着予防のために念入りなスキンケアが必要となります。処方されたお薬をったり紫外線対策に気をつけたりすることも大切です。

戻し植皮®術が向いている方

  • リストカット跡に悩んでいる全ての方
  • お子さんがいらっしゃる方など、すぐに傷跡の印象を変えたい方
  • レーザー治療で効果の出なかった方
  • 他の治療によって、傷が増えてしまった方

戻し植皮®術の治療手順

戻し植皮®術の予約から手術日までのスケジュール

戻し植皮®術の予約から手術日までのスケジュール
戻し植皮®術の予約から手術日までのスケジュール
01 【初回診察日】診察・治療説明・同意書の記入

医師が傷跡の状態を詳しく診察させていただきます。ご同意いただける場合、同意書にサインをいただきます。
※当院では初回診察当日に手術を行っておりません。初回受診時に手術日のご予約をお願いします。その際、手術のための採血検査を行います。

02 【手術日】診察・麻酔

ベッドに横になっていただき、施術部位に印をつけ、写真撮影をします。
その後、生理食塩水を混ぜた局所麻酔を15分程度かけて注射します。
部位や患者さんによっては、軽い痛みを感じることがあります。

03 施術

傷跡の部分の皮膚を専用機械で薄く採取します。(手術時間:約2時間~3時間)

戻し植皮®術で使用する専用機器
(画像)戻し植皮®術で使用する専用機器
04 縫合

採取した皮膚を戻して縫合します。終了後ガーゼで保護します。
現在ギプス固定に関しては、腕一面のような広範囲の方に対しては術後安静を目的として数日から1週間程度のギプス固定を行なって頂いております。

05 通院

手術から2~3日後、1週間後にご来院いただきます。(特に問題がなければ、以後は基本的にご自宅での処置・ケアとなります。)

その後の来院タイミングは、以下の通りです。
2週間後:抜糸処置
手術から1か月後:傷跡のチェックおよびスキンケア・サポーターの使用方法などの説明・指導
2か月後:経過観察
3か月おき:経過観察
※実際の通院タイミング・回数は、患者さんの傷跡の治り具合により前後します。
なお、遠方の方の場合、当院ではオンライン診療を行っていますので、お気軽にご相談ください。

06 ご自宅でのケア

術後1週間は、傷口は濡らせません。

手術から1週間過ぎた頃より、ご自宅での術後ケアを始めていただきます。

傷が治るまで(約2~4週間)毎日、ご自身で傷口を優しく洗浄およびガーゼを貼る処置をお願いしています。傷が治った後は、傷跡の修復を助けて色素沈着などのトラブル予防効果が期待できるスキンケア化粧品を1年間程度使用します。

戻し植皮®術後の注意点

術後は毎日スキンケアを行ったり日焼けに注意したりするなど、傷跡に対してひと手間かけていただくことが大事です。継続的に行う丁寧なケアが傷跡を目立ちにくくすることに繋がります。

傷跡治療と術後スキンケア

傷跡を目立ちにくくするためには、「クリニックでの治療」に加え、ご自宅での丁寧な「スキンケア」が重要となります。
当院では傷口が治ったら、ビタミンA・Cが高配合されたスキンケア化粧品「エンビロン®」を使用しています。エンビロン®は傷跡の補修や色素沈着の予防に効果的です。
また、色素沈着がみられる場合にはハイドロキノン(シミ取りクリーム)、湿疹にはトレチノインの塗り薬など使用することがあります。

エンビロンシリーズ
(画像)エンビロン®シリーズ


※エンビロン製品は、当院では直接購入できません。エンビロンのオンラインショップよりご購入いただいております。ご購入の際、「マイクリニック・サロン」の選択項目がありますので、当院「きずときずあとのクリニック豊洲院」を選択して、ご登録いただく必要があります。当院にて患者さんごとに製品レベルの設定が必要であり、マイクリニック登録がない場合、一部製品がご購入いただけません。詳しくは、以下のお知らせをご確認ください。

◆エンビロンの今後の購入の仕方について

術後の注意点

術後は以下の点に注意して、過ごしましょう。

  • 術後1週間、傷口を濡らさない
    手術当日~約1週間は、手術部分を濡らさないようする必要があります。傷口部分を濡らさないようにすれば、翌日以降シャワー浴をしていただいても構いません。
  • しっかり保湿
    乾燥するとかゆみが出ることがあるので、自宅ケアができる段階になったらしっかり保湿をしてお肌の乾燥を防ぎましょう。
  • 念入りな紫外線対策
    色素沈着の発生要因に「紫外線」があります。日焼け止めを小まめに塗ってケアしましょう。
  • 手術部位を強くこすらない
    手術後のお肌が落ち着くには1年程度かかります。赤みやかゆみから施術部位を強くこすってしまうと、メラニンの過剰生成が起こり、色素沈着を起こしやすくなります。気になる症状がみられたら、早めにご相談ください。
  • 飲酒・運動・サウナなどは1週間くらい控える
    飲酒・運動・サウナなど体が温まったり代謝が上がったりする行為は、術後の赤みを強くしてしまう可能性があります。念のため、施術1週間くらいは控えた方が良いでしょう。

戻し植皮®術の費用目安

リストカット跡・根性焼きの傷跡に対する戻し植皮®術は、病気などによる障害の治療ではなく、整容目的(身なりを整えること)の治療となるので、保険適応が認められておりません*2。
そのため、戻し植皮®術は「自由診療(自費)」となります。
*2(参考)形成外科と健康保険|日本形成外科学会

当院で行う「戻し植皮®術」の費用目安(税込み)は、以下の通りです。
※下記料金表に初診料・再診料および薬剤費用は含まれておりません。
なお、手術を決められた日に保証金として7万円のお支払いをしていただきます。
医療ローンも導入していますので、お気軽にお声がけください。

戻し植皮®

範囲料金
面状瘢痕 ~25㎠
(小範囲)
¥440,000
面状瘢痕 ~50㎠
(肘から手首までの間で半分程度の範囲)
¥770,000
面状瘢痕 ~100㎠
(肘から手首までの広範囲)
¥1,100,000
面状瘢痕 ~125㎠
(肘から手首までの広範囲)
¥1,430,000
126㎠以上の手術 ご相談ください
  • 術後1年間の材料費は無料(再診料、エンビロン代金は除く)
  • 広範囲で前腕、上腕の同じ部位において、2回に分ける必要がある手術の場合、2回目は無料

よくある質問

戻し植皮®術後の傷跡は、どのような見た目になるでしょうか?

戻し植皮®術の施術直後から、リストカット跡には見えなくなります。
傷跡は浅い(軽い)やけど痕のような感じに見えるので、戻し植皮®術を行った方々より「人前に傷跡を出せるようになった」「人に見られても良くなった」「半袖を着られるようになった」など長年の悩み・コンプレックスから解消されたという嬉しいお声をたくさん頂戴しています。

また、これまでリストカット跡ではメイクやファンデーションテープを使用しても横の傷跡が透けていましたが、戻し植皮®術後に残った傷跡ではメイクやファンデーションテープを使用することにより、しっかり傷跡を隠すことも可能です。

術後のセルフケアがちゃんとできるか、心配なのですが……

当院は、傷だけでなく傷跡治療も専門的としているクリニックですので、術後1年はしっかりフォローさせていただいております。
   セルフケアのやり方など事前に指導させていただくことはもちろん、治療途中で不安や疑問点などがありましたら、お気軽にご相談ください。
また、定期的に診察して、部分的に残った凸凹や目立つ傷跡など問題があれば、追加で手術・レーザー治療やヒアルロン酸・ボトックス注射などの治療をさせていただきますので、ご安心ください。

植皮術にとても興味を持ちましたが、費用が高額なので治療をするか迷っています。

医療費に関しては、クレジットカードの分割払いや医療ローンなどをご用意しております。
当院の「戻し植皮®術」は、他の治療法に比べて時間と費用のかかる治療ではありますが、リストカット跡に悩む多くの方にとって「大きな可能性を持つ治療法」であると考えています。
また、近年「戻し植皮®術」は傷跡治療の世界的権威である日本医科大学の小川令教授をはじめとする、様々な大学病院の先生方からも推奨いただけるようになってきました。
お気軽にご相談ください。

「戻し植皮®術」に関する小川先生による投稿論文
(画像)「戻し植皮®術」に関する小川先生による投稿論文
※日本医科大学形成外科 小川令教授より掲載許可をいただきました

院長からひと言

戻し植皮®手術は、自分にとって大きな転機となった治療法です。
それまで、フラクショナルレーザーや切除手術を行ってきましたが、いまいち患者さんに満足していただいている実感はありませんでした。
しかし、戻し植皮®手術を取り入れて、たくさんの患者さんに受けていただいた結果、「人生が変わった」「半袖がきれるようになった」と言ってくださる方が多く出てこられました。
全員が全員ではありませんし、そのような状態になるまでの期間も人それぞれです。
ただ、この手術を受けることで、「リストカットの傷跡を持つ人」と認識されなくなることには大きな意味があると思います。
この治療の価値は、本当に大きいと感じています。是非ご相談にお越しください。

記事執筆者

院長村松英之
きずときずあとのクリニック豊洲院院長 村松英之

資格

日本形成外科学会専門医
日本熱傷学会専門医
日本創傷外科学会専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医