なぜ自傷はおこるのか? | きずときずあとのクリニック 豊洲院 | 東京都江東区の形成外科・美容外科

なぜ自傷はおこるのか?

きずときずあとのクリニック 豊洲院 院長の村松英之です。
お時間をとってこのページをご覧いただき誠にありがとうございます。
少し自分の自傷の傷跡に対する考えを述べさせていただきたいと思います。

当院はリストカットや根性焼きなどの、自傷の傷跡で悩む患者さんを治療する専門医療機関になります。
ただ開業時からそうだったわけではなく、開業後から徐々に患者さんが増えてきたという背景があります。
そこで強くわかったのが、この社会においては、「自傷患者さんに対する誤った認識や関わり方」が多くあるということです、それは患者さんを救うための医療機関でさえもそうです。

かくいう院長自身も開業する前までは、自傷の傷跡を持つ患者さんに対して
「アピール目的ではないか?」
「心の弱い人ではないか?」
という誤った認識を持っていました。
ただ開業して多くの自傷の傷跡で悩む患者様がこられ、自分自身も勉強していくなかで、ようやくこれまでの自分の考え方も誤ったものであったことを理解しました。

自傷自体は決して誤った行為ではなく、辛いトラウマを必死で乗り越えてきた象徴であります。
それを他人から責められたり否定したりされるものではまったくありません。

ただ残念ながら社会の誤った認識はあり、その辛いトラウマは乗り越えることができても、残った傷跡によって学業や仕事、人間関係などで制限がかかってしまうことは多くあります。

当院はそのような傷跡で悩んでいる方を救いたいと本気で思っています。
もし当院に来られたとしても、院長も含めて当院のスタッフは全員決してこれまでの経験を否定することはしませんし、絶対に味方でいたいと思っています。
我々がみなさんのお悩みを少しでも解決するお手伝いができれば嬉しいです。
自分自身は傷跡を治療する1人の形成外科医でしかありませんが、専門家である国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生のお力も借りながら、この誤った考えがない社会を目指し、そして将来は自傷のしない、起きない社会となるように全力を尽くしていきます。

自傷行為とは

直接的なものと間接的なものに分かれています。直接的なものとしてリストカットや根性焼きなど、間接的なものとしては摂食障害、アルコールや薬物依存、危険行為(スピード違反)があります。

頻度

中高生で、男子の3〜5%、女子の10〜17%に認められると言われます。
この確率は年々上がっています、今はYoutubeなどでもリストカットというものを見られるようになっています、注意していただきたいことは、自傷行為は感染します、自傷行為をみたり聞いたりすることで自傷行為を誘発することがあります、リストカットをしている、リストカットを勧める動画などはできるだけ遠ざけることをお勧めします、ただ自傷から克服した経験談などの動画は是非見られることをお勧めします。

目的

主に、自分ではどうしようもないストレス、つらさ、怒りを感じた時に、その痛みを乗り越えることが目的です。
特徴として、死ぬ意志を持たずに自分をなんらかの方法で傷つけることで、その行為によって自分自身の気持ちや対人関係に変化がでます。その結果繰り返してしまうことになります。

転帰

自傷行為は周囲の働きかけ、成長、環境の改善によって消失しますが、平均で7年、長い人で15年も行われることもあります。放置してどんどんエスカレートすることもあり、考えていなかった死を引き寄せることもあります。自傷行為は自殺目的で行われるものではありませんが、自殺のリスクも高いと言われています。

「なぜ自分を傷つけるのか」の誤解

「他人の気をひくためのアピールじゃないか? かまってほしくてやっているんじゃないか 弱い人だから何度もやってしまう やめろと言ってもやめないから人のいうことを聞かない人間なんだ」
これらはすべて誤解であり、自傷行為はほとんどが隠れて行われているものであります。最初からおおっぴらになる人も、何度もやろうと思う人もおりません、皆さん、リストカットを止めれば良いというのはわかっているが、その大きなストレスなどのためにやめられない方がほとんどです。自傷を行う方は基本的に根の優しいまじめな人が多いです。なんらかの生きづらさを抱えている人たちがその解決方法として行っていることであり、行う理由というのもひとそれぞれあります。

理由

自傷の理由には3つあると言われます。

  1. コントロール可能感
    「自分ではどうしようもないストレス、つらさ、怒りを感じた時に、その痛みを乗り越えるために自分を傷つけてしまう」ことが根本にあります。
    不快感情を和らげるために痛みで感情に蓋をする、またその不快感情を切り離すような感じだと思います。たとえば成熟した大人や周囲に信頼できる人がいる場合は、悩みがあればその解決方法を見つけることができます。ただ未熟な時などはなかなかそういう状況にはまだなく知識もありません、残念ながらまだ未熟な状況でリストカットという方法を知り、試すことで自分の感情をコントロールできるようになっていくことを知っていきます。
  2. 鎮痛作用
    みんな、「切るとほっとする」、「気分がスーッとする」、「すっきりする」ということを言います。これは脳内から鎮痛効果のある様々なホルモンが出ているという可能性があるそうです。それによって自傷によって心の痛みが和らいだという経験になっていきます。
  3. 他者をコントロールするため
    自傷のいうものは基本的に隠れて行うものです。しかしエスカレートしていくと他人にも知られることがあり、それにより他人のリアクションが変わることがあります。たとえばそれまで厳しくしていた人がやさしくなったりするようなことです。そうすると他者をコントロールできると感じるようになっていきます。しかし自傷は他者にとって最初は強い印象をもつ経験ですが、繰り返していくと他者も慣れていってしまいます。そうするとさらに印象の強い方法をとるようになっていき、それがより危険なものになっていきます。

治療方法

自傷行為自体の治療について当院は専門ではありませんので、ここでは詳しい治療内容をお伝えできません。前述の国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生の本を読んだり、精神科や心療内科を受診することをお勧めします。
ただ当院から一つだけお伝えしたいことは、
「一人の医師、一つの施設に依存しすぎないようにしてください」
なぜなら、なかなか受診のハードルって高いかもしれません。そんなに自傷を専門としているところもないかもしれませんし、受診までに何ヶ月もかかるかもしれません。そこできちんとした治療が受けられなかったり治療自体が受け入れ難いものであることもあると大きく絶望してしまい治療も断念してしまうことがあります。ただ、治療機関は1カ所だけではありません。その治療内容や医師、スタッフが合わないと感じれば拒否しても良いし、違う場所へ行けば良いのです。助けてもらえるのはそこしかない、医者はその人しかいないと考えると、うまくいかなかったときにショックが大きくなります。ですので一人の医師、一つの施設に依存しすぎないようにしてください。
ちなみにこれは傷跡の治療も一緒です、レーザーや手術を色々と提案されても、他のところの先生の話も聞いてみることもおすすめです。

参考動画


松本俊彦先生

https://researchmap.jp/9391383089/

参考にした本

「自分を傷付けずにはいられない 自傷から回復するためのヒント」
https://www.amazon.co.jp/自分を傷つけずにはいられない-自傷から回復するためのヒント-松本-俊彦/dp/4062193167

おすすめしたい松本先生のインタビュー

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/482/

記事執筆者

院長村松英之
きずときずあとのクリニック豊洲院院長 村松英之

資格

日本形成外科学会専門医
日本熱傷学会専門医
日本創傷外科学会専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医