ケロイド・肥厚性瘢痕(赤く盛り上がる傷跡) | きずときずあとのクリニック 豊洲院・銀座院 | 東京都江東区・中央区の形成外科・美容外科

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ケロイド・肥厚性瘢痕(赤く盛り上がる傷跡)

ケロイド・肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは

傷が治ったあとも赤く盛り上がり、かゆみや痛みを伴う瘢痕を「ケロイド」「肥厚性瘢痕」と呼びます。
どちらも見た目が似ていますが、

  • 肥厚性瘢痕:炎症があまり強くない状態、傷の範囲内で赤く盛り上がる。時間が経つと落ち着いていく場合がある。
  • ケロイド:炎症が強い状態、傷の範囲を超えて広がり、進行性。自然に退縮することはほとんどない。

患者さんにとっては区別が難しいため、当院ではまとめて診療し、それぞれに適した治療を行います。

主な症状・特徴

  • 赤く硬く盛り上がる
  • かゆみや痛みを伴うことが多い
  • 胸・肩・耳・顎・下腹部・関節などにできやすい
  • 入浴や飲酒、運動、妊娠、ストレスなどで一時的に赤みやかゆみが増すことがある

ケロイド・肥厚性瘢痕の治療(7つの方法)

① 内服(リザベンなど)

炎症を抑える飲み薬。トラニラスト(リザベン)が代表的で、赤み・かゆみの軽減を目指します。長期的な服用が必要です。

② 外用薬(エンビロン・スタデルム・エクラープラスターなど)

  • エクラープラスター:ステロイド成分を含む貼り薬で、炎症や硬さを抑えます。
  • エンビロン(ビタミンA)、スタデルム:皮膚のターンオーバーを整え、瘢痕の質感を改善します。

③ 圧迫

テープ固定、シリコンジェルシート、専用の圧迫衣を用いて皮膚の張力を軽減。盛り上がりの抑制に有効です。

④ 注射(ケナコルト・ボトックス)

  • ケナコルト注射:ステロイドを瘢痕に直接注射し、赤みやかゆみ、盛り上がりを抑えます。通常は月1回を数ヶ月以上。
  • ボトックス注射:皮膚を引っ張る筋肉の緊張をやわらげ、再発や進行を抑える補助的な役割。

⑤ レーザー治療

  • ロングパルスNd:YAGレーザー:赤み・硬さの改善。
  • フラクショナルレーザー:質感を柔らかくし、盛り上がりを平坦化。
  • POTENZA®:炎症鎮静、質感改善、柔らかさを出す補助治療。

⑥ 手術(瘢痕形成術)

幅広い瘢痕や大きな塊を切除し、縫い直して細くまっすぐに整える治療。
※ケロイドは再発しやすいため、術後もステロイド注射やテープ療法を継続する必要があります。
※戻し植皮®・培養表皮移植はリストカットの治療でのみ行っています。

⑦ 放射線治療

耳のケロイドなど再発リスクが高い場合に、術後早期に低線量照射を行うことがあります。再発率を下げる効果が期待されます。

部位別の特徴と治療方針(8部位)

① 耳(耳介・耳垂)

  • 特徴:保存的治療は効きにくい。
  • 治療:手術が第一選択。他部位より再発率が低い。術後は放射線推奨。難しい場合は術後早期からステロイド注射でコントロール。

② 顎・フェイスライン

  • 特徴:ニキビが原因のことが多い。若年層に多く、下顎角部に好発。にきびのコントロールも必要。治療抵抗性で長期戦になりやすい。
  • 治療:保存的治療(ケナコルト・エクラープラスター・ボトックス・Nd:YAG)。難治例では切除も検討。

③ 胸・肩・二の腕

  • 特徴:ニキビや予防接種痕から発生。手術後に再度増大しやすい。
  • 治療:保存的治療が第一選択(ケナコルト・エクラープラスター・ボトックス・Nd:YAG)。場合によってはケロイド部分のみをくり抜く手術も。

④ 帝王切開瘢痕

  • 特徴:縦方向の切開創で起こりやすい。妊娠・授乳期に悪化。
  • 治療:保存的治療が基本。妊娠・授乳中は治療内容を調整。

⑤ 顔(頬・上口唇など)

  • 特徴:転倒や外傷後に多い。見た目への影響が大きい。
  • 治療:早期からPOTENZA・Nd:YAG・フラクショナルを併用。

⑥ 関節部位(肘・膝・手首など)

  • 特徴:動かすたび刺激が加わり治りにくい。
  • 治療:ケナコルト+テープを基本に、早期からPOTENZA・Nd:YAG・フラクショナルを併用。

⑦ 手術後瘢痕(乳がん・開腹など)

  • 特徴:切開創やドレーン刺激で悪化。広範囲化することもある。
  • 治療:術前から体質を把握し予防。術後はケナコルト+エクラープラスター。再燃部位にNd:YAG、安定後にフラクショナル。

⑧ 小児の熱傷後瘢痕

  • 特徴:痛みや恐怖心が強く、治療継続が難しい。成長とともに変化。
  • 治療:まずエクラープラスター。必要に応じてケナコルト注射(痛みに配慮)。炎症後には年齢に応じてレーザーを段階的に。

よくある質問

ケロイド・肥厚性瘢痕は治りますか?

完全に消すことは難しいですが、治療と生活管理により赤みやかゆみをコントロールし、目立ちにくくすることは可能です。

ケロイドと肥厚性瘢痕の違いは?

肥厚性瘢痕は傷の範囲内に限局し、時間とともに改善することもあります。ケロイドは範囲を超えて進行し、自然に治まらないのが特徴です。

ケナコルト注射は何回必要ですか?

多くの場合、月1回を3〜6ヶ月以上継続します。赤みやかゆみを安定させるのが目的です。

注射は痛いですか?

少し痛みがありますが、麻酔テープや冷却で軽減できます。

手術をすれば治りますか?

ケロイドは再発しやすく「切って終わり」ではありません。術後も注射やテープで再発予防を続ける必要があります。

入浴や飲酒で赤くなるのは悪化ですか?

一時的な血流反応で悪化ではありません。ただし赤みは数年かかって改善することもあり、数年経っても残る場合があります。

妊娠中でも治療できますか?

ケナコルト注射やレーザーは妊娠中はできません。エクラープラスターは使用可能です。

日常生活で気をつけることは?

サウナ、長風呂、運動、飲酒、睡眠不足、ストレスは悪化因子です。完全に禁止する必要はありませんが、頻度を控えることを推奨します。

なぜ胸や肩にできやすいのですか?

張力が強い部位で、摩擦やホルモンの影響を受けやすいためです。

保険は使えますか?

ケナコルト注射や手術は保険適応となる場合があります。レーザー治療は自費診療です。

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