傷跡のレーザー治療とは
傷跡のレーザー治療は、やけどや外傷、手術などにより残ってしまった傷跡を薄く、目立たなくする治療です。できてしまった傷跡を完全に消すことはできませんが、傷跡の色を薄くしたり、凸凹を改善させたりすることで、外見的な印象を変えることが可能です。
現在の保険治療では、あくまでも傷の治療がメインになるため、残った傷跡にお悩みの患者さんは少なくありません。傷や傷跡の治療を専門に行う当院では、目立つ傷跡を改善させるため、1か月に200人以上の患者さんにレーザー治療(自費治療)を行っております。 傷跡の状態は患者さんによって異なり、治療法もそれぞれです。当院では、お一人お一人異なる傷跡の状態に合わせ、最適な治療をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。 銀座院のレーザー治療のご予約はこちら
レーザー治療の目的
レーザー治療の目的は3つあります。
凸凹を平らにする
赤い色を薄くする
黒い色を薄くする
1.に対してはフラクショナルレーザー、CO2レーザーを使用します。
2.にはロングパルスNd:YAGレーザー、3.にはQスイッチアレキサンドライトライト、YAGレーザーを使います。
レーザー治療をおすすめする人
レーザー治療は、患者さんの体への負担が少ない治療で、幅広い方に受けていただくことが可能ですが、特に以下のような方におすすめです。
手術を希望しない方
レーザー治療は、手術のように新たな傷を増やすことがありませんので、「手術が怖い」という方でも安心して受けていただくことが可能です。また、手術に比べ、治療後の痛みや合併症が少ないのも大きなメリットです。
ご多忙な方
レーザー治療の場合、術後の安静などが必要ないため、日常生活への影響を最低限に抑えることができます。学校や会社などを休む必要もないので、ご多忙な方でも治療を受けていただくことが可能です。
緩やかな改善を望む方
レーザー治療は、半年から一年程度かけて治療を繰り返すことで徐々に効果が出てきます。
一度の治療で劇的な変化を望まず、じっくり時間をかけて少しずつ改善させたいという方に適した治療です。(治療中の傷跡はメイクなどで隠すことが可能です)
治療費用を抑えたい方
レーザーは保険適用がないため、自費治療となりますが、手術などに比べると、費用を安く抑えることができます。当院ではお得なレーザー治療のコース(5回、10回)も用意しております。
また、お支払い方法も選べるようになっていますので、年齢層の若い患者さんにも受けていただきやすい点も大きなメリットです。
※ただし、治療を急ぐような場合や、傷跡の状態によってはレーザー治療よりも手術をおすすめさせていただく場合もございます。 銀座院のレーザー治療のご予約はこちら
レーザーの種類
傷跡治療に当院で使用しているレーザーは以下の5種類です。
患者さんの傷跡の状態に合わせ、最適なレーザーを使用します。(複数のレーザーを組み合わせて使用する場合もあります。)
フラクショナルレーザー
出力の高いレーザーを点状に照射し(フラクショナル技術)、皮膚の表面に多数の細かい穴を開けるレーザーです。
繰り返し照射することで徐々に傷跡の凸凹をぼやかし、見た目を改善させることが可能です。
効果が出るまでには時間がかかるため、定期的に治療を受けていただく必要があります。
≪おもな適応≫
時間が経っている傷跡、でこぼことした状態の傷跡、妊娠線や肉割れ
≪治療回数・期間≫
6~8週に1回の間隔で、最低5回以上
治療期間の目安:一年以上
≪治療後に起こりうる副作用≫
炎症後色素沈着
※一時的なものであり、照射を止めれば徐々に消えますので、繰り返し受けていただいても問題ありません。予防としてレーザーを行った後は色素沈着を予防する外用薬の塗布やビタミンCの内服などを行う場合があります。
(画像)パールフラクショナルレーザー
炭酸ガスレーザー
二酸化炭素(CO2)を使用するガス(気体)レーザーです。
組織を焼く(蒸散:じょうさん)ことで、面状に皮膚を削ったり、直線的に穴を開けたりする効果があります。傷跡の盛り上がりを平らにする、傷の凹みのふちを削ってなだらかにするなど、フラクショナルレーザーの補助的な使い方をします。
≪おもな適応≫
盛り上がった傷跡、ニキビ跡のくぼみ(凹み)、わきが手術の後のコメド(毛穴の詰まり)除去
≪治療回数・期間≫
1回
≪治療後に起こりうる副作用≫
炎症後色素沈着
※一時的なものですので、照射を止めれば徐々に薄くなりますが、予防としてレーザーを行った後は色素沈着を予防する外用薬の塗布やビタミンCの内服などを行う場合があります。
ロングパルスNd:YAGレーザー
細かい血管(毛細血管)を焼くレーザーです。
傷跡の赤みを取り、ケロイドや肥厚性瘢痕の盛り上がりを抑制する効果があります。
効果が出るまでには時間がかかるため、定期的に治療を受けていただく必要があります。
≪おもな適応≫
赤みが残っている傷跡、ケロイドや肥厚性瘢痕の抑制
≪治療回数・期間≫
2~4週程度に1回の間隔で、10回以上
治療期間の目安:半年~1年程度
≪治療後に起こりうる副作用≫
やけど、水ぶくれ
(画像)ロングパルスNd:YAGレーザー
Qスイッチアレキサンドライト、YAGレーザー
「メラニン色素」に選択的に反応するレーザーです。
メラニン色素を壊し、傷跡の色素沈着を改善する効果があります。
QスイッチアレキサンドライトレーザーとYAGレーザーは、2つをセットで使用します。
効果が出るまでには時間がかかるため、定期的に治療を受けていただく必要があります。
≪おもな適応≫
茶色または黒い色素沈着を起こしている傷跡
≪治療回数・期間≫
1か月に1回の間隔で10回程度
治療期間の目安:半年~一年程度
≪照射後に起こりうる副作用≫
やけど、色素脱失(色素が抜けること)または色素沈着
POTENZA(ポテンツァ)
POTENZA(ポテンツァ)は、微細な針を皮下へ刺入し、針先からRF(高周波)を照射することで表皮に熱損傷を起こすことなく真皮層に直接熱エネルギーを与え、ニキビ・ニキビ跡、小じわ、毛穴の開き、肝斑など様々な肌の悩みに働きかける治療機です。
熱エネルギーによる肌活性(線維芽細胞の活性)に加え、極細針によってできた傷が回復する過程でも創傷治癒効果が働くことから、従来のマイクロニードル治療法よりも効果実感に優れたお勧めの治療法です。
レーザー治療の流れ
傷跡のレーザー治療は以下のような流れで行います。
01
カウンセリング・診察
初診時には、ご記入いただいた問診表をもとに、カウンセリングと診察を行います。
患者さんのお悩みをじっくり伺い、傷跡の状態や自覚症状の有無、どの程度の改善を望まれるかなどの確認をさせていただいた上で、最適な治療をご提案いたします。
治療にかかる期間や費用なども診察時に丁寧にご説明いたしますので、ご不明な点や質問などがありましたらお気軽にご相談ください。
内容にご納得いただき、レーザー治療を希望される場合は、同意書をご記入いただき、治療の日程を決定いたします。
※初回診察当日はレーザー治療を行わない場合があります。
02
治療前準備・麻酔
治療当日は、洗顔・クレンジングなどの準備を行った後、麻酔を行います。
麻酔にはいろいろなタイプがありますが、レーザー治療ではおもに表面麻酔(塗る・貼る)を行います。塗るタイプの麻酔クリームは、来院後に塗布し、30~1時間お待ちいただいた後に照射します。
貼るタイプの麻酔テープの場合は、来院する1時間前にテープを貼っていただきます。
※痛みに応じて注射などを行う場合もありますが、レーザーは繰り返し行うことが多いため、当院ではできるだけ患者さんの体に負担が少ない麻酔を使用します。
03
レーザー照射
麻酔の効果を確認後、レーザーを照射します。
傷跡の部位や大きさ、状態にもよりますが、レーザー治療の所要時間は5~15分程度が目安となります。
04
治療後の処置
治療後は、皮膚の状態に合わせ、痛みや腫れを抑えるためのクーリングや外用薬の塗布、ガーゼやハイドロコロイド製剤による保護などを行います。
その後、術後の経過が良好になるよう、ご自宅でのケアの方法や注意点などをご説明させていただきます。
処置方法や経過についてなど、分からない点やご不安な点があればお気軽にお尋ねください。
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レーザー治療後のケアと注意点
治療の経過を良好にするため、術後のケアは非常に重要です。
レーザー治療を行った後は、以下のような点に気を付けましょう。
照射後の患部の冷却
照射後は皮膚が敏感になっているため、ヒリヒリ感や赤みが数時間~数日続くことがあります。痛みや赤みが気になる時は、冷やしたタオルなどをあてて冷却していただくと症状を和らげることができます。
保湿のためのケア
照射後の皮膚は敏感になっているため、しっかり保湿を行う必要があります。ご自宅では、毎日、ワセリンや保湿効果の高い化粧品(エンビロン)によるスキンケアを行っていただきます。
※治療後の皮膚の状態により、軟膏などを塗っていただく場合もございます。
紫外線予防
レーザー治療を行っている期間中に日焼けをしてしまうと治療をできなくなる場合があります。
治療期間中はサポーターや日焼け止めを使うなどの対策をして、紫外線予防をしっかり行いましょう。
レーザー治療の費用
傷跡のレーザー治療は保険適用が認められていないため、自費治療となります。
費用は、治療の内容や回数により異なります。
なお、自費治療となる場合、当院では、初診料3,300円、再診料1,650円(税込)をいただいておりますのでご了承ください。
※医療ローンを利用し、分割払いが可能です。ご希望の方は、医師、看護師までご相談下さい
代金はすべて税込みになります。
引用文献
当院では、レーザー治療の安全性と有効性を重視し、既存の研究報告や臨床データを考慮しながら診療を行っております。以下の引用文献は、治療の指針の一つとして参考にしている研究の一部です。
【瘢痕・凹凸のある傷跡】マイクロニードルRF 引用文献
1)Successful Treatment of Facial Atrophic Acne Scars by Fractional Radiofrequency Microneedle in Vietnamese Patients. Nguyen Thi Kim Cuc, Pham Thi Lan, Nguyen Van Thuong, et al. Open Access Macedonian Journal of Medical Sciences, 2019.
ベトナム人52名を対象に、フラクショナルRF(ラジオ波)マイクロニードル治療が萎縮性ニキビ瘢痕に有効かを検討した。治療4回後、73.1%の患者が1段階以上の改善を示し、瘢痕スコアは16→5.6へ有意に減少(p < 0.01)。副作用は9.6%の患者で軽度の色素沈着が見られたが、1ヶ月以内に消失。短期間でダウンタイムが少なく、高い効果が得られる治療法としてRF治療は有望である。
2)The Role of Fractional Radiofrequency in Long-term Acne Remission and Reduction of Acne Scar Load. M. Hamadani, N. M. Vranis, A. D. Kaye, R. D. Urman. Aesthetic Surgery Journal, 2025.
フラクショナルRF治療が長期的なニキビの寛解と瘢痕の軽減に与える影響を調査した。356名を対象に、イソトレチノイン、アブレーティブレーザー、フラクショナルRFを比較。3年後の再発率は、イソトレチノイン67%、レーザー75%、フラクショナルRF 24%であり、RFが最も低かった。RFは皮膚の引き締めとコラーゲン生成を促進し、瘢痕改善に高い効果を示す安全な治療法であると結論付けた。
3)Microneedling: Advances and Widening Horizons. Aashim Singh, Savita Yadav. Indian Dermatology Online Journal, 2016.
マイクロニードルは、非常にシンプルで安全、効果的、かつ低侵襲な治療技術である。当初は皮膚の若返りのために導入されたが、現在ではにきび跡、にきび、外傷後/火傷の傷跡、脱毛症、肌の若返り、薬物送達、多汗症、妊娠線など非常に幅広い適応症に使用されている。さらに、この10年の間に多くの新しい技術革新が行われた。マイクロニードルに他の手技を組み合わせることにより、より良い結果を得ることができる。表皮を損傷する他の手技では、炎症後色素沈着のリスクが非常に高いため、特に、色黒の肌には非常に安全な手技である。 フラクショナル高周波マイクロニードリング マイクロニードリングと高周波の融合により、この技術の応用の可能性がさらに広がった。絶縁針を使用して皮膚を貫通し、針先から高周波電流を放出して、上にある表皮を損傷することなく、真皮構造成分と付属腺に熱を与えることができる。これにより、長期的な真皮リモデリング、新弾性繊維形成、新コラーゲン形成が誘発される。針の深さは 0.5 mm から 2.0 mm まで調整できるため、真皮のさまざまな層を個別にターゲットにすることができる。施術者は、電力レベルとエネルギーパルスの持続時間を調整することで、組織の損傷を適切に制御できる。マイクロニードリング高周波 (MNRF) 技術は表皮を損傷しないため、より暗い肌タイプでも安全に照射できる。その適応には、傷跡治療、多汗症、皮膚の引き締め、若返りなどがある。薬剤と組み合わせることにより色素沈着の改善なども期待できる。
【瘢痕・凹凸のある傷跡】パールフラクショナルレーザー 引用文献
1)A systematic review of the comparison between needling (RF-needling, meso-needling, and micro-needling) and ablative fractional lasers (CO₂, erbium YAG) in the treatment of atrophic and hypertrophic scars. Niloufar Najar Nobari, Anahita Tabavar, Sara Sadeghi, et al. Lasers in Medical Science, 2023.
RFニードリングやミクロニードリングと、CO2やエルビウムYAGのようなアブレイティブフラクショナルレーザーを比較した。10件の研究を分析した結果、両者の効果には統計的な有意差はほとんどなく、いずれも70%以上の改善率を示した。ただし、色素沈着はレーザー治療でやや多く見られた。これにより両方法は安全で有効な治療法であり、患者の状況に応じて適切に選択できることが確認された。
2)Hypertrophic Scar Outcomes in Fractional Laser Monotherapy Versus Fractional Laser-Assisted Topical Corticosteroid Delivery: A Randomized Clinical Trial. Woraphong Manuskiatti, Arisa Kaewkes, Chadakan Yan, et al. Acta Dermato-Venereologica, 2021.
肥厚性瘢痕に対しフラクショナルレーザー単独治療と、ステロイド局所導入法の併用治療を比較したランダム化臨床試験を19名の患者で実施した。短期的にはステロイド併用群で瘢痕の厚さが有意に減少したが、長期的な改善度には両群で有意差はなかった。この結果、フラクショナルレーザー単独でも肥厚性瘢痕に対して有効な治療法であり、ステロイドの追加効果は限定的であると結論付けられた。
3)Prospective Evaluation of Fractional CO2 Laser Treatment of Mature Burn Scars. S. Blome-Eberwein, C. Gogal, M. J. Weiss, D. Boorse, P. Pagella. Journal of Burn Care & Research, 2016.
成熟した熱傷瘢痕を対象にフラクショナルCO2レーザー治療の効果を評価した。48の治療瘢痕と32の対照瘢痕を比較し、治療前後で瘢痕の厚み、感覚、紅斑、色素沈着の客観的な改善が確認された(P < .01)。治療は局所麻酔クリームを使用し、エネルギーは40〜90 mJ、密度は100〜150スポット/cm²で行われた。痛みのスコアは平均4.7/10(治療中)から2.4/10(治療後5分)に減少したが、患者による痛みと掻痒感のスコアに変化はなかった。Vancouver scar scaleは8から6に改善したが、弾性の改善は統計的有意性を示さなかった。本研究は、熱傷瘢痕治療におけるフラクショナルCO2レーザーの有望性を示す一方で、患者/観察者評価スケールの感度の限界も指摘している。
【瘢痕・凹凸のある傷跡】キュアジェット 引用文献
1)Needle-Free Jet Injection of Poly-(Lactic Acid) for Atrophic Acne Scars: Literature Review and Report of Clinical Cases. Nark-Kyoung Rho, Hyun-Jo Kim, Hyun-Seok Kim, Won Lee. Journal of Clinical Medicine, 2024.
萎縮性ニキビ瘢痕に対するポリ乳酸(PLA)の針なしジェット注射の有効性を検討した。PLAはコラーゲン生成を促進し、瘢痕治療に有望とされるが、従来の注射法では痛みや不均一な分布が課題だった。本研究では、新たなジェットインジェクターを使用し、PLAを皮膚内に均等に分布させることで効果を向上させた。臨床試験では、有効性と安全性が確認され、患者のダウンタイムが短縮された。
2)Therapeutic Performance of Needle Injection Versus Needle-Free Jet Injector for Polynucleotide Filler in Skin Rejuvenation. Ji Yeon Hong, Yoon Hwan Lee, Hyun-Jo Kim, Kui Young Park. Journal of Cosmetic Dermatology, 2024.
ポリヌクレオチド(PN)の注入を従来の針注射と針なしジェット注射(キュアジェット)で比較した。韓国人10名を対象とした顔面を半分に分けて試験した結果、針なしジェット注射の方が疼痛が少なく、肌のハリ・しわの改善効果も優れていた。疼痛も抑えられて、患者満足度も高かった。針なしジェット注射は、美容皮膚科における新たな選択肢となり得る。
【赤みのある傷跡、瘢痕】ロングパルスNd:YAGレーザー 引用文献
1)Efficacy of a long-pulsed 1064-nm Nd:YAG laser in acute scar redness. Youngwoong Choi, Jeong Min Ji, Ki Pyo Sung, Choong Hyeon Kim. Archives of Aesthetic Plastic Surgery, 2023.
術後の初期瘢痕の発赤を軽減するためにロングパルスNd:YAGレーザーを使用した治療法を検討した。36名の患者を対象に、レーザー治療を受けたグループと軟膏を使用したグループを比較した結果、レーザー治療群では2か月後に瘢痕の赤みが大幅に減少した(JSWスコア平均4.6→2.2)。この結果から、ロングパルス1064-nm Nd:YAGレーザーは、侵襲性が低く短期間で効果を発揮する治療法として有望であると結論づけらた。
2)Comparison of Nd:YAG Laser and Combined Intense Pulsed Light and Radiofrequency in the Treatment of Hypertrophic Scars: A Prospective Clinico-Histopathological Study. Mohamed M. Khedr, Wael Hussein Mahmoud, Fersan A. Sallam, Nader Elmelegy. Annals of Plastic Surgery, 2020.
50名の肥厚性瘢痕のある患者を対象に、Nd:YAGレーザーとE-light(IPL+RF)治療を比較した。両グループとも瘢痕スコアが有意に改善したが、E-lightはより良い臨床および組織学的改善を示した。E-light治療ではコラーゲンの密度がより大幅に減少し、瘢痕組織の整理が顕著であった。これにより、E-lightは肥厚性瘢痕の治療において有効な選択肢とされている。
3)Pulsed dye laser versus long-pulsed Nd:YAG laser in the treatment of hypertrophic scars and keloid: A comparative randomized split-scar trial. Abd El-Shakour Abd El-Hafiz Al-Mohamady, Shady Mahmoud Attia Ibrahim, Muhammad Mohsen Muhammad. Journal of Cosmetic and Laser Therapy, 2016.
肥厚性瘢痕およびケロイドの治療において、パルスダイレーザーとロングパルスNd:YAGレーザーを比較した。両方のレーザー治療により瘢痕の厚さ、色素、柔軟性が改善されたが、Nd:YAGレーザーはより持続的な改善効果を示した。
4)Combination of 1064 nm Long-Pulsed and Q-Switched Nd:YAG Laser for Facial Hypertrophic Scar and Hyperpigmentation Following Burn Injury. Kartika Ruchiatan, Kamelia Utami Suhada, Reti Hindritiani, Diah Puspitosari, Rani Septrina. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 2022. 20歳男性の顔面熱傷後に形成された肥厚性瘢痕および色素沈着に対して、1064nmロングパルスNd:YAGレーザーとQスイッチNd:YAGレーザーの併用治療を行った症例報告である。ロングパルスNd:YAGレーザーを1か月間隔で3回、その後QスイッチNd:YAGレーザーを同じ間隔で2回実施した。治療後、瘢痕の薄化および柔軟性の改善がVancouver Scar Scale(VSS)によって確認され、色素沈着の軽減と肌の明るさの向上が分光光度計で測定された。副作用は特に見られず、患者は治療結果に満足した。この結果は、ロングパルスNd:YAGレーザーとQスイッチNd:YAGレーザーの併用が熱傷後の瘢痕と色素沈着に対する有効な治療選択肢となり得ることを示している。
よくある質問
レーザー治療をやっている医療機関はたくさんありますが、治療内容に違いはありますか?
傷跡のレーザー治療は、豊富な経験と高い技術が必要になります。
例えば、同じフラクショナルレーザーを使う治療を行っている場合でも、ニキビ跡の治療とリストカットや子供の頃にできた傷跡の治療では同じような効果が出るとは限らず、クリニックによって効果の現れ方には違いが出ることがあります。
傷跡のレーザー治療はいつから始めることができますか?
傷がしっかり治らないうちにレーザー治療を始めると、レーザーの刺激でより赤みが強くなったり、水ぶくれができたりといった副作用が起こりやすくなりますので、まずはしっかり傷を治すことが先決です。
なお、レーザー治療を開始する目安として、ロングパルスNd:YAGレーザーは、傷が治ってから最低3か月、フラクショナルレーザーは半年程度経過してからとなります。
レーザー治療中の傷跡を隠したいです……。
レーザー治療は、傷跡改善に大変優れた効果がありますが、効果を実感するまでには長い時間がかかります。
治療中の傷跡が目立ち、気になってしまう場合、当院では「メディカルメイク」をおすすめしております。
メディカルメイクは、傷跡や皮膚の変色などに行う特殊なメイク法で、気になる部分をメイクで修復し、目立たなくするものです。
治療が進むにつれ、傷跡は徐々に薄くなってくると、よりメイクで隠しやすくなります。
※メディカルメイクについては以下のブログにも詳しい情報があります。(ただし、メディカルメイク外来は現在行っておりません。)
メディカルメイク 傷跡を隠すメイク
ロングパルスNd:YAGレーザーとは何ですか?
ロングパルスNd:YAGレーザーは、特に細かい血管(毛細血管)を焼くレーザーで、傷跡の赤みを取り除き、ケロイドや肥厚性瘢痕の盛り上がりを抑制する効果があります。
深部までレーザー光線が到達する特性を持っています。
傷跡に対するこのレーザーの主な適応は何ですか?
赤みが残っている傷跡、ケロイドや肥厚性瘢痕の抑制に適しています。
治療はどのくらいの頻度で必要ですか?
通常、2~4週に1回の間隔で、合計10回以上の治療が必要です。治療期間の目安は半年から1年程度です。
治療後の副作用には何がありますか??
やけどや水ぶくれが起こることがありますが、これらは一時的で、治療による正常な反応の一部です。
治療後、日常生活に影響はありますか?
施術後の日常生活への影響は少なく、施術部位が顔の場合、施術後すぐに化粧が可能です。
施術の料金はどのくらいですか?
範囲によって分かれております、ATコースになりますので料金表をご確認ください。
施術は痛いですか?
輪ゴムではじかれたような軽度の痛みがありますが、麻酔クリームを使用することで痛みを軽減できます。
他のレーザーと併用できますか?
当院ではケロイド肥厚性瘢痕にフラクショナルレーザーを併用したり、色素疾患に対してはライムライトやQスイッチを併用することができます
(別料金が発生することがあります)
Qスイッチレーザーとは何ですか?
Qスイッチレーザーは、特にメラニン色素に反応するレーザーで、シミやくすみ、色素沈着や傷跡の治療に効果的です。
このレーザーは非常に短いパルス幅で動作し、皮膚に傷を残さない特性を持っています。
傷跡や炎症性色素沈着に対する治療効果はありますか?
Qスイッチレーザーは、茶色または黒い色素沈着を起こしている傷跡に有効です。
これにより、傷跡の色素沈着を改善することが可能です。
治療後の副作用はありますか?
副作用として、照射部位の軽いやけど反応や色素沈着が生じることがあります。
これらは通常一時的で、時間の経過とともに改善されます。しかし、適切なアフターケアが重要です。
治療の頻度はどのくらいですか?
色素沈着が生じなければ、治療間隔は1~2ヶ月で行うことが一般的です。
状況によっては、3ヶ月間隔での治療もあります。
治療後のケアにはどのようなことが必要ですか?
治療後は、1週間ステロイド軟膏で保護をしてください、その後はエンビロンやトレチノインなどのレチノール製品やハイドロキノンを使用していただきます。
また、日焼け止めの塗布が重要で、照射後は3ヶ月程度は患部にも必ず使用するように心掛けてください。
院長からひと言
傷跡のレーザー治療は当院が最も力を入れている部分です。
なぜなら日本では最もこの部分が他の国に比べて遅れているところであり、院長はもっと気軽に誰でも傷跡に対してレーザー治療を受けてほしいと思い、開業当初より開始しました。
現在では毎日10人以上、1か月で200人以上の方が受けていただいております。
少しでもお悩みが解決できれば嬉しいです。
銀座院のレーザー治療のご予約はこちら