経過観察 症例集 – きずときずあとのクリニック 豊洲院

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経過観察 症例集

当院で治療中の経過写真を公開

症例写真一覧

治療前 治療6回目 現在治療中

鼻翼縮小術後肥厚性瘢痕

美容外科術後傷跡部位:顔受傷時期:3年以上前状態:白い
20代女性。小鼻縮小術後の傷跡と赤みを主訴に受診。ロングパルスNd:YAGレーザーとフラクショナルレーザーを併用し、赤みと凹凸が徐々に改善。化粧もしやすくなってきています。
本患者は20代の女性です。美容外科にて両側小鼻縮小術を受けられた後、術後の傷跡に対して他院で炭酸ガスレーザー治療を受けた既往があります。今回、左小鼻の外側から鼻腔底にかけて、白色調の瘢痕組織(いわゆる“白いあんこ様”の所見)を伴う部分と、その周囲に軽度の陥凹を認めました。また、傷跡周囲の赤みも気になるとのことで当院を受診されました。
診察では、外鼻という皮膚の薄い部位かつ張力のかかりやすい領域であることから、単一の治療ではなく、赤み(毛細血管拡張)と凹凸(質感の不整)の両方にアプローチする必要があると判断しました。患者さんと十分に相談の上、ロングパルスNd:YAGレーザーによる血管成分への治療と、フラクショナルレーザーによる皮膚質感改善を組み合わせた併用治療を計5回行う方針としました。
治療経過としては、回数を重ねるごとに徐々に赤みが軽減し、同時に陥凹や凹凸もなだらかになってきました。特に外鼻はメイクで隠しにくい部位ですが、「お化粧がしやすくなった」「ファンデーションが溜まりにくくなった」といった前向きなご感想をいただいています。
美容外科術後の傷跡は、短期間で劇的に消えるものではなく、色調を徐々に薄くすること、凹凸を少しずつ平らにしていくことが重要です。多くの場合、1年程度の経過で「お化粧で自然にカバーできる状態」を目標とします。本症例でも、そのゴールに向けて良好な経過をたどっており、引き続き経過を見ながら必要に応じた治療調整を行っていく予定です。
治療前 治療4回目 現在治療中

腹部脂肪吸引後肥厚性瘢痕

美容外科術後傷跡部位:臀部・足受傷時期:1年状態:赤み
韓国での脂肪吸引術後に残った腹部・鼠径部の傷跡に対し、ロングパルスNd:YAGレーザーとフラクショナルレーザーを併用。5回の治療で色調と凹凸が改善しました。
本患者は20代の女性の方です。
海外(韓国)で脂肪吸引手術を受けた後、術後の傷跡が目立つことを主訴に当院を受診されました。特に、鼠径部、下腹部、側腹部、臍部など、脂肪吸引のカニューレ挿入部に一致した傷跡を強く気にされていました。
診察時、各部位の傷跡は硬さを伴い、色素沈着を伴って残存しており、加えて軽度の凹凸も認められました。脂肪吸引後の傷跡は、切開自体は小さくても、炎症や張力の影響により硬さや色調異常が長期に残ることが少なくありません。特に鼠径部や腹部は、動きや摩擦の影響を受けやすい部位です。
本症例では、患者様が過去にポテンツァ治療で腫れを経験されていたことから、同治療は今回選択せず、ロングパルスNd:YAGレーザーとフラクショナルレーザーの併用を治療方針としました。ロングパルスNd:YAGレーザーにより赤みや色調の改善を図りつつ、フラクショナルレーザーで瘢痕部の質感改善と凹凸の平坦化を目的としています。併せて、局所の炎症を抑える目的で軟膏治療も開始しました。
治療は約2か月ごとにレーザー治療を実施し、計5回行っています。回数を重ねるごとに、色調は徐々に薄くなり、触診上の硬さや凹凸も改善が認められました。治療経過は良好で、術後約1年の時点で、傷跡は以前と比較して明らかに目立ちにくい状態となっています。
患者様ご本人からも、見た目・触感ともに改善を実感され、「十分満足できる」との評価が得られたため、5回の治療で終了となりました。
脂肪吸引術後の傷跡では、部位特性と既往治療を踏まえ、複数のレーザーを適切に組み合わせた段階的治療が有効であることを示す症例と考えられます。
初診 治療5回目 現在治療中

左下腿前面色素異常を伴う瘢痕

美容外科術後傷跡部位:臀部・足受傷時期:6カ月以内状態:赤み
40代女性。転倒による下腿のケガ後に色素沈着を認めました。ロングパルスNd:YAGレーザーとIPLを月1回施行し、約5回で大きく改善しました。
本患者は40代の女性です。転倒により下腿(すね)を受傷した後、その部位に色素沈着が残存することを主訴に当院を受診されました。受傷から約半年が経過しており、比較的早期段階の外傷後色素沈着と考えられる状態でした。
下腿は外傷を受けやすい一方で、血流が比較的乏しく、皮膚のターンオーバーが遅いため、ケガ後に色素沈着が残りやすい部位です。転倒によるケガでは、皮下出血や炎症が強く生じ、その過程でメラノサイトが刺激され、メラニンが過剰に産生・沈着することで色調変化が固定化します。
本症例では、まず炎症の沈静化とメラニン生成の抑制を目的として、外用薬による治療を開始しました。同時に、より積極的な改善を希望されたため、レーザー治療の併用を提案しました。色素沈着が主体であることから、ロングパルスNd:YAGレーザーによる深部メラニンへのアプローチと、IPLによる表在性の色調改善を組み合わせた治療方針としています。
治療は月1回のペースで継続し、皮膚への負担を抑えながら徐々に色を薄くしていく方法を選択しました。受傷からの期間が半年程度と比較的短かったこともあり、治療反応は良好で、約5回の治療で色調は大きく改善しました。周囲皮膚とのコントラストも目立たなくなり、ご本人が日常生活で気にならないレベルまで回復しています。
外傷後色素沈着は、受傷からの経過が短いほど改善が早い傾向があります。本症例はその代表例であり、早期介入の重要性を示す症例と考えられます。治療終了時には患者さんの満足度も高く、良好な結果が得られました。
初診 治療10回目 現在治療中

右下肢3か所、左下肢1か所色素沈着

怪我や事故などの傷跡部位:臀部・足受傷時期:3年以上前状態:黒み
20代女性。虫刺され後の掻破を契機に下腿の色素沈着を認めました。ロングパルスNd:YAGレーザーとIPLを併用し、約1年で大きく改善しました。
本患者は20代の女性です。下腿に生じた色素沈着を主訴に当院を受診されました。既往歴や経過を詳しく確認したところ、虫刺されを掻き壊した後から徐々に色が濃く残るようになったとのことで、**炎症後色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation)**が強く疑われました。
虫刺されは局所に炎症を引き起こし、強いかゆみを伴うことが多く、無意識のうちに掻破を繰り返してしまいます。この刺激により、表皮基底層のメラノサイトが活性化され、メラニン産生が亢進することで色素沈着が形成されます。特に下腿は血流が比較的乏しく、ターンオーバーが遅いため、色素沈着が長期化しやすい部位とされています。
本症例では、まず炎症を抑えつつ、色素沈着の改善を目的として、外用薬・内服薬による保存的治療を併用しながら、レーザー治療を段階的に行う方針としました。レーザー治療としては、ロングパルスNd:YAGレーザーおよびIPLを併用し、メラニンへの選択的なアプローチと、皮膚全体のトーン改善を同時に図りました。
治療は約1年間を目安とし、8〜10回程度の色素レーザー治療を計画しました。治療回数を重ねるごとに、色調は少しずつ薄くなり、周囲皮膚とのコントラストも目立ちにくくなっていきました。急激な改善を求めるのではなく、皮膚への負担を最小限にしながら、時間をかけて徐々に改善させることを重視しています。
約1年経過した時点で、色素沈着は大きく軽減し、日常生活や露出時にも気にならないレベルまで改善しました。ご本人からも高い満足度が得られ、治療終了となっています。
初診 治療6回目 現在治療中

両側腋窩豊胸後肥厚性瘢痕

美容外科術後傷跡部位:腕・腋受傷時期:6カ月以内状態:赤み
30代女性。両脇の豊胸術後の傷跡が皮膚瘤化し、色素沈着を認めました。ロングパルスNd:YAGレーザーとIPLを用い、約1年かけて改善を目指しています。
本患者は30代の女性です。両脇の豊胸術後の傷跡について相談され、当院を受診されました。術後経過の中で、脇部の傷跡が皮膚瘤状に盛り上がり、加えて色素沈着を伴っている状態でした。
脇は解剖学的にも特殊な部位であり、日常的に皮膚同士が擦れやすく、発汗や蒸れも起こりやすいため、術後に皮膚瘤や色素沈着が生じやすい部位です。一方で、同じ手術を受けていても非常にきれいに治癒する方もおり、体質や生活環境、創部への刺激の差が経過に大きく影響します。このような傷跡は自然経過での改善が乏しく、治療介入が必要となるケースも少なくありません。
本症例では、患者さんが最も気にされていたのが色調の問題であったため、まずは炎症と色素異常の改善を優先しました。具体的には、ロングパルスNd:YAGレーザーを用いて赤みや血管成分にアプローチし、併せてIPLにより黒みや色素沈着の改善を図る治療方針としました。皮膚瘤については、まず炎症を落ち着かせることが重要と判断し、段階的な治療を行っています。
治療は月1回のペースで継続し、全体として約1年程度かけて徐々に色を薄くしていく計画としました。現在は6〜7回目の治療段階ですが、赤み・黒みともに徐々に軽減しており、経過は良好です。脇という部位特性を考慮すると、短期間での劇的な改善を目指すのではなく、時間をかけて安定した改善を得ることが重要です。今後も治療を継続することで、さらに自然で目立ちにくい傷跡へと改善していくことが期待されます。
治療前 治療3回目 現在治療中

人中短縮・小鼻縮小術後 成熟瘢痕

美容外科術後傷跡部位:胸・腹・背中受傷時期:3年以上前状態:盛り上がり
人中短縮術後の軽度に盛り上がった傷跡に対し、フラクショナルレーザーを施行。2か月ごとの治療で凸凹が改善し、見た目の自然さが向上しました。
本患者は30代の女性の方です。
人中短縮手術後の傷跡の凸凹を主訴に当院を受診されました。化粧をしても傷跡が目立ちやすく、見た目の違和感が気になるとのことで、日常生活において強いストレスを感じている状態でした。
診察時、正面視においても人中部にわずかな凹凸を伴う傷跡が確認され、角度や光の当たり方によっては視認される状態でした。本症例の傷跡は、明らかな陥凹ではなく、軽度に盛り上がったタイプの傷跡であったため、形態改善を主目的とした治療選択が重要と判断しました。
患者様と十分に相談のうえ、治療法としてフラクショナルレーザーを提案しました。盛り上がりを伴う傷跡では、瘢痕組織の再構築を促しながら、皮膚表面の質感を均一化していく治療が有効であり、フラクショナルレーザーはその目的に適した治療法と考えています。
治療は約2か月ごとに1回の間隔で実施しました。回数を重ねるごとに、傷跡の凸凹は徐々に平坦化し、患者様ご本人からも「回数を重ねるごとに見た目が改善している」との実感が得られています。
治療経過として、正面から注意深く観察すると一部にわずかな傷跡は残存するものの、大部分の傷跡は目立たなくなり、全体として自然な印象となりました。人中短縮術後の傷跡では、軽度な凹凸であっても正面視で気になりやすいため、質感改善を重視した段階的レーザー治療が有効であることを示す症例と考えられます。
治療前 1年後 現在治療中

リストカット瘢痕

リストカット跡部位:腕・腋受傷時期:3年以上前状態:白い
フラクショナルレーザー約10回で改善しなかった広範囲のリストカット痕に対し、局所麻酔下で戻し植皮術を実施。術後1年で腕を自然に出せるようになった症例。
本症例は30代後半の女性の方です。10代半ばから約2年間にわたり自傷行為を繰り返し行い、その結果、左前腕に広範囲のリストカット痕が残存していました。20代半ばには、傷跡の改善を目的として他院美容外科にてフラクショナルレーザー治療を複数回受けており、治療回数は約10回に及んでいましたが、十分な改善は得られなかったとのことです。
診察時には、左前腕に線状のリストカット痕が広範囲に分布しており、レーザー治療後の変化は限定的でした。これまでの治療経過や瘢痕の性状を踏まえ、レーザー治療の継続による改善は難しいと判断し、治療選択肢として戻し植皮術を提案しました。十分な説明のうえ、患者さんも戻し植皮術を希望され、治療を行うこととなりました。

戻し植皮術は局所麻酔下で施行しました。手術自体は問題なく終了し、術後の生着も良好でした。術後は外用剤を使用しながら経過観察を行い、時間の経過とともに傷跡は徐々に薄くなっていきました。患者さん自身も、腕の状態が着実に改善していることを実感され、治療経過に満足されていました。

経過中、一時的に毛穴の詰まりが目立つ時期がありましたが、適切な経過観察のもとで徐々に改善し、大きな問題には至りませんでした。その後は瘢痕の硬さも次第に軽減し、術後約8ヶ月の時点では、傷跡の盛り上がりはほぼ平坦となりました。

当初は化粧を用いて傷跡をカバーしながら生活されていましたが、術後約1年が経過した頃には、「ほとんど傷跡が気にならなくなった」と感じるようになり、自然に腕を露出できるようになりました。現在では、日常生活において傷跡を意識する場面は大きく減少し、治療は術後約1年で終了となっています。

本症例は、長期間にわたるリストカット痕およびレーザー治療無効例に対して、戻し植皮術が有効な選択肢となり得ることを示す一例です。
治療前 1年2ヶ月後 現在治療中

リストカット瘢痕

リストカット跡部位:腕・腋受傷時期:3年以上前状態:白い
前腕に広がるリストカット痕に対し、約3×12cmで戻し植皮術を実施。術後1年で半袖も自然に着られるようになり、高い満足が得られた症例。
本症例は30代女性の方です。20歳頃に自傷行為を行い、その後前腕にリストカット痕が残存していました。診察時には、太い傷跡と細い傷跡が混在しており、前腕に一定の広さで分布している状態でした。瘢痕は成熟しており、線状瘢痕として視認性の高い印象を与えていました。
患者さんはお子様を一人育てておられ、「将来この傷跡を子どもにどう思われるのか」という点に強い不安を抱えていました。また、夏場に半袖を着ることができないことも大きな悩みとなっており、日常生活や服装の選択に制限を感じて当院を受診されました。十分な説明と相談のうえ、傷跡の印象を大きく変える治療として戻し植皮術を希望されました。

本症例では、前腕のリストカット痕を含む約3×12cmの範囲に対して戻し植皮術を施行しました。線状に集中していた傷跡を皮膚の向きを変えて再構成することで、リストカット痕としての特徴を弱め、周囲皮膚となじませることを目的としています。術後の生着は良好で、明らかな合併症は認めませんでした。

術後は外用としてシルビロンを使用しながら経過観察を行いました。時間の経過とともに傷跡は徐々に落ち着き、色調や質感も改善していきました。それに伴い、患者さん自身の心理的負担も次第に軽減していきました。

術後約1年が経過した夏の時期には、「もう腕を出しても大丈夫だと感じられるようになった」との実感を得られ、半袖を着ることに対する抵抗感はほとんどなくなりました。現在では、外出時も傷跡を意識することなく自然に腕を出して生活されており、治療結果に高い満足を示されています。術後約1年で治療は終了となりました。

本症例は、比較的広い範囲に分布するリストカット痕に対して戻し植皮術を行うことで、外見だけでなく生活の質や将来への不安を大きく改善できた一例と考えられます。
治療前 1年1ヶ月後 現在治療中

リストカット瘢痕

リストカット跡部位:腕・腋受傷時期:3年以上前状態:白い
レーザー治療で改善しなかったリストカット痕に対し、遠方から戻し植皮術を実施。術後1年で腕を自然に出せるようになり、前向きな変化が得られた症例。
本症例は30代後半の女性の方です。10代の頃にカミソリによる自傷行為を行い、前腕に複数のリストカット痕が残存していました。一部の傷跡は太く、過去に縫合処置を受けた既往もありました。その後、傷跡の改善を目的としてレーザー治療を複数回受けていましたが、十分な効果は得られず、特に夏場に腕を露出できないことが大きな悩みとなっていました。
診察では、太さのある線状のリストカット痕が複数認められ、成熟瘢痕の状態でした。これまでの治療経過を踏まえると、レーザー治療によるさらなる改善は難しいと判断し、患者さんの希望もあり戻し植皮術を選択しました。
患者さんは遠方在住でしたが、事前診察で予定を決めて、その後再度来ていただき手術を行い、術後は一泊入院のうえ翌日に状態を確認しました。問題がないことを確認した後は一度帰宅していただき、抜糸は術後2週間で来院して行いました。その後の経過観察は、必要に応じて来院とオンライン診療を併用して行っています。戻し植皮術は合併症が少なく経過が安定しているため、遠方の患者さんにとっても受けやすい手術であると考えられます。
術後経過は良好で、明らかな合併症は認めませんでした。患者さんは術後、徐々に腕を露出することに挑戦しており、当初はメイクやファンデーションテープを使用しながら生活されていました。特に、ファンデーションテープが貼りやすくなったことを実感され、術後約半年間はそれを活用しながら過ごされていました。
その後、傷跡が落ち着くにつれて他人の視線が気にならなくなり、術後約1年の時点では、腕を出す服装も気にせず選べるようになりました。「前向きな気持ちになれた」との言葉も聞かれ、生活の質の向上が得られた症例です。
治療前 1年3ヶ月後 現在治療中

リストカット瘢痕

リストカット跡部位:腕・腋受傷時期:3年以上前状態:白い
太さのある前腕のリストカット痕に対し、レーザーは不適と判断し戻し植皮術を実施。看護学校進学を見据え、術後1年で自然に腕を出せるようになった症例。
本症例は40代女性の方です。約20年前、20歳前後の時期に衝動的な自傷行為を行い、その後前腕にリストカット痕が残存していました。自傷の回数自体は多くなく、範囲も比較的限局していましたが、一本一本の傷跡は太く、線状瘢痕として明瞭に認識される状態でした。
患者さんは当初、レーザー治療による改善を希望して当院を受診されました。しかし診察の結果、本症例のように太さのある成熟したリストカット痕に対しては、レーザー治療単独では十分な改善が得られにくいと判断しました。そのため、治療選択肢として戻し植皮術を提案し、十分な説明を行った上で手術を希望されました。

また、この患者さんは将来、看護師を目指して看護学校への進学を考えており、実習などで前腕を露出する機会が多くなることを強く意識されていました。そのため、「これから先の生活で傷跡を気にし続けるのではなく、今のうちにしっかり向き合いたい」という思いが、手術を選択する大きな理由となりました。

戻し植皮術は問題なく施行され、術後の生着も良好でした。明らかな合併症は認めず、経過は順調でした。術後しばらくの間は、患者さん自身も慎重になり、化粧などを用いて傷跡をカバーしながら生活されていましたが、時間の経過とともに色調は徐々に薄くなり、質感も周囲皮膚になじんでいきました。

術後半年頃には、実習中も含めて「化粧をしなくても他人が全く気にしていない」ことに気づくようになり、次第に腕を露出することへの抵抗感が減少しました。術後1年の時点では、ほとんど化粧をすることなく、日常生活において自然に腕を出して過ごされているとのことでした。

本症例は、太さのある限局したリストカット痕に対して、戻し植皮術が有効であり、将来の職業や生活背景を含めた治療選択が患者さんの生活の質向上につながった一例と考えられます。