「乳がん術後の傷跡が気になる」
「できるだけ乳がん術後の傷跡を目立たなくさせたい」
と悩まれている方は少なくないです。
女性にとっては大切なことかつデリケートなことで、なかなか人には相談しにくい問題ですよね。
本記事では、乳がん手術を受けた後の傷跡はどこにできるのか、目立たなくさせる方法やケア方法について詳しく解説していきます。
乳がんの手術をした後、傷跡はどこにできるか不安を抱えている方も多いでしょう。
乳がん手術では、主に「乳房部分切除」と「乳房全摘出」の2パターンに分類されます。
この章では、どのような違いがあるのか、どのような傷跡ができるのかを説明します。
乳房部分切除では、癌細胞を含む乳房の一部を取り除くことで、病気の進行を防ぐことができます。
部分的な切除なので、乳房の外見や形状を保つことができるのがメリットです。
ただし、癌の再発リスクがあることや放射線療法などの追加治療が必要になる場合もあります。
乳房全摘出で主に行われる「乳房切除術」と「乳頭乳輪温存乳房切除術」の2種類について説明します。
乳頭、乳輪を含めた全乳房を切除する手術方法です。
乳房切除術は、乳房部分切除をした時に大きく変形してしまう恐れがある場合や、術後の放射線療法を避けたい場合に行います。
乳房の内部組織を全て取り除き、乳頭と乳輪、皮膚を残します。
さらに、再建手術をすることによって整容性を保つことができます。
ただし、腫瘍が皮膚や乳頭、乳輪に近い方には適さない手術方法です。
乳房再建を追加することで、優れた整容性が期待できますが、腫瘍が皮膚や乳頭乳輪に近い人には適しません。
乳がん術後に乳房を再生する「4つの再建方法」について、さらに詳しく説明します。
シリコンや生理食塩水で作られたインプラント(人工乳房)を使用して、乳房の形状を再構築する方法です。
インプラントを、皮膚や筋肉の下に挿入することにより、乳房の形状を作り出します。
インプラント再建のリスクとしては、人工物を体の中に入れるため、免疫反応が出る可能性があるということです。
自分の体から組織(皮膚、脂肪、筋肉)を移植して乳房を再建する方法です。
一般的には、腹部や背中、太ももの組織が用いられます。
ただし、より自然な感触の乳房を再現できますが、この手術方法では乳房以外にも傷をつけるので、全ての傷口が回復するまでの入院期間は長くなるでしょう。
インプラントと自家組織を組み合わせて乳房を再建する方法です。
ハイブリッド再建は、インプラント再建よりも自然な形や感触の乳房を再現することができます。
また、自分の組織も使っているので、その後必要であればインプラントを取り出す手術を行うことができます。
一般的には乳房再建の半年後ほどから、乳頭や乳輪の再建を行うことも可能です。
乳頭および乳輪の再建は、健康側の乳輪を半分移植する手術やタトゥー技術を用いて行われ、外見を自然な見た目に仕上げます。
乳がん術後の傷跡をできるだけ目立たなくさせる方法を、2つご紹介します。
乳がん術後、傷跡が目立ってしまうことに悩まれている方には、簡易的に傷跡を隠すことができる「傷跡専用テープ」が効果的です。
傷跡専用テープとは、乳がん手術の1〜2週間後ほどから始めることができる補助療法に用いられるもので、主に肌色のテープが使われます。
絆創膏のように、乳がん術後の傷跡の上にテープを貼り付けて使用することができます。
レーザー治療やステロイド注射、さらには目立つ瘢痕を手術によって切除するという傷跡ケア方法があります。
フラクショナルレーザーや色素レーザーを使うことにより、傷跡の赤みを軽減し、肌の表面を滑らかにするのに効果的です。
また、ステロイド注射は瘢痕の厚みや赤みを抑えるのに適しています。
乳房再建後の傷跡ケア施術の症例をご紹介します。
病名 | 乳房再建後肥厚性瘢痕 |
治療内容 | ロングパルスNd:YAGレーザー19回+フラクショナルレーザー7回+ボトックス、ステロイドテープや注射 |
乳がん術後の皮膚のケア方法を、以下の3つのポイントから詳しく解説していきます。
乳がん術後は、傷跡が落ち着いてくる1〜2ヶ月後あたりから普段通りの下着を着用することができます。
乳がん術後用下着というのは、乳房に左右差がでないよう改良されたもので、ブラジャーやブラジャーのポケットに入れて使うシリコンパッドなどがあります。
乳がん術後用のブラジャーには、左右に分離し、手術をした方にだけ着用することができるものもあるので、術後の自身の乳房の形に合わせて下着を選ぶことができるでしょう。
術後の胸を見るのに抵抗を感じるという方もいらっしゃいます。
しかし、傷周りに汚れがたまると菌が繁殖し、感染症の原因ともなりかねません。
そのため、シャワーなどできちんと汗や老廃物などの汚れを洗い流し、清潔を保つことが傷を治すためにも不可欠です。
手術によって傷んだ皮膚は、保湿することが大切です。
正しい保湿によって、水分を保持するだけでなく、油分やビタミンなどを補給することができます。
病院やクリニックでは、保湿に加え、血行促進作用や抗炎症作用のあるヘパリン類似物質を配合したクリームを処方されることがあります。
医師とよく相談しながら、自分にとって一番有効なケアを行っていきましょう。
本記事では、乳がん手術を受けた後の傷跡はどこにできるのか、目立たなくさせる方法やケア方法について詳しく解説しました。
乳がんは、主に部分切除と全摘出の2パターンの方法で手術が行われます。
乳がん術後の傷跡に悩まされている方は、傷跡専用テープを使ったり、傷跡ケアの施術を受けることにより、傷跡を目立たなくさせることができます。
また、術後は皮膚をきれいに保つためにできる4つのケア方法についても解説しました。
どのケア方法も簡単にできるので、自分の傷跡にあったケア方法を医師とよく相談し、行っていきましょう。
また当院では、傷跡の治療を強みとしています。
傷跡治療についても紹介しておりますので、ステロイドを含むケロイド・肥厚性瘢痕に対するケナコルト注射についての記事もご覧ください。