ケロイド・肥厚性瘢痕に対するケナコルト注射について | きずときずあとのクリニック 豊洲院 | 東京都江東区の形成外科・美容外科

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ケロイド・肥厚性瘢痕に対するケナコルト注射について

2024.02.19

ケロイド・肥厚性瘢痕とは

ケロイドおよび肥厚性瘢痕は、外傷や手術後の皮膚が過剰に修復されることで形成される、硬く盛り上がった瘢痕です。これらの瘢痕は見た目の問題だけでなく、場合によっては痛みやかゆみを引き起こし、患者様の生活の質に影響を与えることがあります。

ケナコルトとは

ケナコルトはトリアムシノロンアセトニドというステロイドを含む医薬品名です、一般的にはケナコルト注射やステロイド注射と言われます、瘢痕の治療に用いられる方法の一つで、抗炎症作用により瘢痕組織の過剰な成長を抑え、症状の軽減を目指します。当クリニックでは、ケナコルト注射を含む瘢痕治療のオプションを多く提供しています。

ここでは、ケナコルト注射の概要、治療の流れ、期待できる効果、そして治療の際に考慮すべき点について説明します。治療に関してご不明点がある場合は、LINEでお気軽にお問い合わせください。

効果

肥厚性瘢痕やケロイドの治療におけるステロイド注射の効果については、複数のメカニズムが関与しています。ステロイド、特にケナコルト注射と呼ばれるトリアムシノロンアセトニド(TAC)は、この分野で広く使用されている薬剤です。以下は、このステロイド注射が効果的である理由です

  1. 抗炎症作用: ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、瘢痕組織における炎症反応を抑制します。これにより、瘢痕の硬化や拡大を防ぐことができます。
  2. 線維芽細胞の活動抑制: ステロイドは線維芽細胞の増殖を抑制し、コラーゲンや他の細胞外マトリックス成分の合成を減少させます。これにより、瘢痕組織の過剰な蓄積を防ぎ、瘢痕の柔軟性を向上させることができます。
  3. 血管新生の抑制: ステロイドは瘢痕組織内の血管新生を抑制し、瘢痕の赤みを減少させることができます。
  4. コラーゲン合成の減少: ステロイドはコラーゲンの合成を直接減少させることができ、瘢痕組織の硬化や厚みを減少させます。
  5. 免疫応答の調節: ステロイドは免疫系の活動を抑制し、瘢痕形成に関与する炎症性サイトカインの生産を減少させます。これにより、瘢痕組織の過剰な反応を抑えることができます。

利点

ケナコルト注射は、簡便ですぐに行える治療方法であり、通常は外来での処置となります。ケロイド・肥厚性瘢痕の治療の中でも、強い効果をもり、すぐに治療後に瘢痕がやわらかくなったりかゆみや痛みの改善を経験されます。しかし、治療効果は個人差があり、瘢痕の種類や治療を開始するタイミングによっても異なります。

潜在的なリスクや副作用

ケナコルト注射は一般的に安全な治療方法ですが、いくつかの副作用が報告されています。一番は注射部位における痛みです、次に赤み、腫れが最も一般的です。また脂肪萎縮により凹むこと、注射部位の皮膚が薄くなる、色素沈着の変化が生じることがあります。

禁忌事項および受けられない方

  • 妊娠中または授乳中の方
  • アレルギー反応がある方
  • 感染症や皮膚疾患がある方

注意すべき方

  • 血液凝固障害のある方
  • 糖尿病、緑内障、骨粗鬆症のある方

ケナコルト注射についてよくある質問

Q1: ケナコルト注射はどのような瘢痕に効果がありますか?

A1: ケナコルト注射は、ケロイドや肥厚性瘢痕に対して効果が期待できます。これらの瘢痕は、皮膚の傷が治癒する過程で過剰に生成される組織であり、注射はその成長を抑制し、症状を軽減するのに役立ちます。

Q2: 治療にかかる時間はどのくらいですか?

A2: ケナコルト注射自体は数分で完了します。しかし、治療の全過程には、初診、治療計画の立案、フォローアップの診察などが含まれるため、患者様の状態によって異なります。

Q3: 痛みはありますか?

A3: 痛みはあります、当院では局所麻酔薬を混ぜる、できるだけ細い針で注射する、冷やす、振動を加えるなどの対策で、できるだけ痛みのない注射を心がけています、注射後に一時的な痛みや不快感を感じることがありますが、これは通常、短期間で自然に軽減します。痛みが持続する場合は、医師に相談してください。

記事執筆者

院長村松英之
きずときずあとのクリニック豊洲院院長 村松英之

資格

日本形成外科学会専門医
日本熱傷学会専門医
日本創傷外科学会専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医