脂肪腫は、皮膚の下にできる良性の脂肪組織の塊で、基本的に痛みはなく健康に害を及ぼすことはありません。
しかし、
「脂肪腫が大きくなってきて不安」
「脂肪腫がある部分が痛みを伴ってきたように感じる」
と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、脂肪腫があることによるリスクや脂肪腫の切除が必要なケース、手術後の傷跡ケア方法について解説します。
適切なケアを行うことで、術後の傷跡を目立たなくし、早期の回復を目指しましょう。
脂肪腫の主な原因は、正確にはまだ解明されていませんが、遺伝的要因つまり家族に脂肪腫がある人は、脂肪腫ができるリスクが高いとされています。
また、外傷や傷がきっかけで脂肪細胞が異常に増殖し、脂肪腫になることもあると言われていますが、一部のケースに限られます。
脂肪腫は、以下のように脂肪の多い部分にできやすいです。
良性と言われている脂肪腫は、放っておくとどのようなリスクが伴うでしょうか。
3つのリスクについて考えていきましょう。
脂肪腫は一般的に痛みを伴わないことが多いですが、神経に近い場所にできると圧迫が起こり、痛みや不快感を感じることがあります。
痛みが日常生活に支障を来すことがあるため、医師に相談して適切な治療を受けた方が良いでしょう。
ほとんどの脂肪腫は小さいまま変わらないことが多いです。
しかし、時間とともに肥大化する脂肪腫も中にはあります。
脂肪腫が大きくなると、周囲の筋肉や組織を圧迫して痛みなどの症状が出る場合があります。
場合によっては、切除が必要になるでしょう。
脂肪腫の肥大化が進行する前に、定期的に医師の診断を受けることをおすすめします。
脂肪腫が皮膚の表面近くにできると、とても目立ちます。
特に首、肩、腕など、肌が露出しやすい場所にできると、見た目に気をつかわなければいけないでしょう。
脂肪腫が大きくなると、形がはっきりとして見えたり、衣類にこすれてさらに目立つこともあります。
見た目が気になる場合は、美容目的で切除を行うことも選択肢の一つです。
良性である脂肪腫の切除が必要になるケースとは、脂肪腫が健康や生活に影響を与える場合のことです。
以下では、脂肪腫切除が必要となる3つのケースについて詳しく解説します。
脂肪腫の大きさが一定であれば特に問題はありません。
しかし、急速に成長する場合は、まれに悪性の腫瘍(脂肪肉腫)の可能性が考えられるため注意が必要です。
大きさの急激な変化が見られる場合は、医師の診察を受ける必要があります。
脂肪腫自体は一般的に痛みはありませんが、痛みがある場合は切除することを検討する必要があります。
痛みの原因としては、脂肪腫が周囲の神経や血管を圧迫している可能性があります。
特に、脂肪腫が大きくなると、筋肉や他の組織に影響を及ぼし、神経に刺激を与えて痛みを引き起こすことがあります。
痛みがある場合は、我慢せずにすぐに医師に相談しましょう。
脂肪腫が大きくなりすぎたり、神経の近くや目立つ場所にできた場合、日常生活に支障をきたすことがあります。
例えば、関節付近に脂肪腫ができると動きにくくなったり、衣服が擦れて痛みを感じるような場所にできた場合などです。
さらに、女性であれば脂肪腫が首や腕など目立つ場所にできてしまうと、見た目が気になってしまうということもあります。
このような場合に、脂肪腫を切除することで、ストレスなく快適に過ごせるようになります。
脂肪腫はどのように切除するのか不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
これから「3つの脂肪腫の切除方法」について解説します。
外科的切除は、局所麻酔または全身麻酔を施した後、脂肪腫の上の皮膚を切開し、腫瘍を取り出します。
この方法は、脂肪腫が大きい場合や、深く埋まっている場合でも完全に除去できるため、再発のリスクが非常に低いのが特徴です。
内視鏡手術は、より小さな切開で脂肪腫を取り除く方法です。
切開の方法としては、皮膚に小さな穴を開けて、内視鏡と呼ばれる小型のカメラを使い、脂肪腫を確認しながら切除します。
体の深層部にある脂肪腫や、外科的切除が難しい場所にある脂肪腫は内視鏡手術で切除することが多いです。
内視鏡手術では小さな切開で済むため、傷跡が目立たず、回復も外科的切除よりも早い傾向があります。
しかし治療できる施設は限られます
レーザー切除は、レーザー光線を使用して脂肪腫を焼き切る方法で、比較的小さな脂肪腫や、皮膚表面近くにある脂肪腫などに行われる切除方法です。
切開が不要で、レーザーを当てるだけで除去が可能なため、出血も最小限に抑えられます。
また、傷跡がほとんど残らないため、表面や目立つ箇所にある脂肪腫の除去に用いられやすい方法です。
こちらも治療できる施設は限られます
脂肪腫切除後の傷跡をできるだけ目立たなくさせるためにできる、以下の傷跡ケア方法をご紹介します。
テープを貼って傷を保護したり緊張をとったりします。
これにより肥厚性瘢痕やケロイドのリスクも軽減されます。
シリコンジェルやシリコンシートによって脂肪腫切除後の傷跡を保湿し、傷跡の盛り上がりや赤みを抑えることができます。
シリコンジェルやシリコンシートも、肥厚性瘢痕やケロイドを予防するために効果的です。
肥厚性瘢痕やケロイドができた場合、レーザーを使用して治療することができます。
レーザー治療は、肌の再生能力を高め、傷跡を徐々に目立たなくする効果があります。
また、赤みや色素沈着を抑えるだけでなく、肥厚した傷跡を治すのにも役立ちますので、傷跡を目立たなくさせたい人にはおすすめです。
ただし、必ず医師と相談しながら自分に合った傷跡ケア方法を探すようにしましょう。
本記事では、脂肪腫があることによるリスクや脂肪腫の切除が必要なケース、手術後の傷跡ケア方法について解説しました。
脂肪腫は良性の腫瘍なので、基本的に無害ですが、成長が速い場合や痛み、生活への支障がある場合は切除が必要です。
脂肪腫の切除後は、抗生物質入り軟膏で感染を防ぎ、シリコンジェルやレーザー治療で傷跡を目立たなくするケアを行うことで、きれいに治すことができます。
ただし、脂肪腫切除後の傷跡ケアは、医師とよく相談して治療を進めるようにしましょう。
もし肥厚性瘢痕やケロイドができてしまった場合の対処法は、こちらの記事をご覧ください→ケロイド・肥厚性瘢痕に対するケナコルト注射について