脂肪腫は、体内にできる良性の脂肪細胞のかたまりで、多くの場合、痛みがなく無害です。
しかし、見た目や大きさ、部位によっては治療が必要になることもあります。
「脂肪腫の治療法はどのようなものなのか」
「脂肪腫の治療にはリスクがあるのだろうか?」
など心配される方も少なくありません。
そのような方のために、本記事では、脂肪腫の治療法とそれぞれのリスクについて詳しく解説します。
脂肪腫は、脂肪細胞が異常に増殖して形成される良性の腫瘍です。
通常は痛みを伴わず、皮膚のすぐ下に感じることができるしこりとして現れます。
脂肪腫はどこにでも発生する可能性がありますが、特に首や肩、背中、腕、太ももなど、脂肪の多い部位にできます。
触ると柔らかく、軽く押すと簡単に動かせるのが脂肪腫の特徴です。
脂肪腫に痛みは伴いませんが、神経や血管などに圧迫を与える位置にできた場合、痛みを感じることがあります。
以下の脂肪腫の治療法を詳しく取り上げていきます。
外科的に切除する方法が、脂肪腫を最も確実に取り除けることができる治療法です。
小さい場合は局所麻酔で行うことが可能で、比較的簡単な手術になります。
手術としては、腫瘍直上の皮膚を切開し、脂肪腫を取り除きます。
術後の回復も早く、再発の可能性は非常に低いです。
正常な脂肪組織には脂肪吸引などが行われており、将来的には脂肪腫にも使用される可能性はあります。
しかし、現在のところは保険適応もなく当院でも行っておりません。
一般的ではありませんが、コルチコステロイド注射やレーザー治療、まれに放射線治療を用いる場合があります。
脂肪腫の治療によるリスクは以下の通りです。
脂肪腫を摘出した後にその部分に出血が起こり、血がたまり血腫となることがあります
切除手術後の傷口から細菌が侵入し、感染を引き起こす可能性があります。
そのため、感染を防ぐために、手術後に抗生物質が処方されることがあるでしょう。
切除手術だけでなく、脂肪吸引や針吸引後も感染のリスクがあり、赤み、腫れ、痛みが生じることがあります。
切除手術した部位に傷跡が残ることがあり、特に大きな脂肪腫や皮膚の張りがある場合、目立つ傷跡ができることがあります。
脂肪腫は治療後に再発することがあり、特に吸引や部分的な切除を行った場合は再発率が高くなることがあります。
なぜなら、吸引では脂肪腫の外膜が残ることが多いため、再び脂肪が蓄積する可能性があるからです。
完全に切除することで再発リスクを低減できますが、それでもまれに再発することがあります。
切開手術は、完全に脂肪腫を取り除けるメリットがありますが、特に大きな脂肪腫を除去する場合は、目に見える大きな傷跡が残る可能性があります。
できるだけ傷跡に配慮した切開を行う医師を選びましょう。
脂肪腫自体は良性の腫瘍であるため、必ずしも治療が必要ではありませんが、症状や健康状態によっては治療を選択する場合があります。
糖尿病や高血圧、心臓病などの持病がある場合、手術による合併症のリスクが高まる可能性がありますので、必ず医師と相談してください。
最初に診断された医師の説明に不安を感じたり、疑問が残る場合は、他の医師の意見を聞くことで納得のいく治療方針を決めることができます。
脂肪腫の診断や治療に精通している医師やクリニックを探しましょう。
形成外科、皮膚科、整形外科などの専門医が適しています。
脂肪腫の治療によってできた傷跡をできるだけ目立たなくさせるためにできることを、3つご紹介します。
傷が治り始めた段階から保湿をしっかり行うことで、傷跡が柔らかくなり、目立ちにくくすることができます。
保湿には、ビタミンAやC、ビタミンEやヒアルロン酸を配合したクリームやローションがおすすめです。
傷跡は紫外線に敏感なため、日焼けを避けることが重要です。
なぜなら、傷跡は紫外線によって色素沈着を起こし、目立つことがあるからです。
そのため、日焼け止めクリームをしっかり塗ることや、帽子などの日除けアイテムを活用して、なるべく日焼けを避けましょう。
脂肪腫治療でできた傷跡には、注射、レーザー治療、マイクロニードリングなどが効果的です。
そのような治療を受けるには、形成外科・美容外科がおすすめです。
傷跡ケア治療について詳しくは「傷跡治療の種類」をご覧ください。
本記事では、脂肪腫の治療法とそれぞれのリスクについて詳しく解説しました。
脂肪腫は良性の腫瘍ですが、痛みがある場合や見た目が気になる場合には、切開手術や吸引治療などを検討する必要があります。
そのため、治療におけるリスクをよく考慮し、医師とよく相談して治療法を決めてください。
また、脂肪腫を取り除いた際にできる傷跡を目立たなくさせるための傷跡ケア治療が気になる方は、ぜひこちらの記事「ケロイド・肥厚性瘢痕に対するケナコルト注射について」もご覧ください。