やけどをしてしまうと、どうしたらよいのかと焦ってしまいますよね。場合によっては、水ぶくれができてしまったりします。
水ぶくれを見ると、
「潰してしまった方がいいのだろうか」
「放置しておいて良いのだろうか」
と思うかもしれません。
本記事では、やけどを負ってしまった時や水ぶくれができた時の対処法をご紹介します。
やけどと言っても、やけどの程度によっては対処方法が変わりますので、最後までご覧になってみてください。
やけど(熱傷)とは、熱によって皮膚や粘膜が損傷された状態のことです。
例えば、熱した油やアイロン、蒸気など、日常的に接触しやすい熱によって外傷を負ってしまうことがあるでしょう。
やけどの程度は、軽度なものから重度なものまでさまざまです。
やけどの程度について、次の章で詳しく説明します。
やけどの程度は、Ⅰ度熱傷・II度熱傷・Ⅲ度熱傷の3種類に分けられます。
では、やけどの程度について詳しく説明していきます。
Ⅰ度熱傷は、皮膚表面の表皮だけが損傷するやけどで、通常赤みが出る程度で、ほとんど痛みを伴いません。
約3〜4日程度でやけどによる傷跡は治ります。
赤く日焼けすることも「Ⅰ度熱傷」です。
Ⅱ度熱傷は、表皮の次にある真皮というところまで到達するやけどです。
Ⅱ度熱傷の特徴は、水ぶくれができること。
真皮の表面(Ⅱ度熱傷の中でも浅め)のやけどは、約2週間で治ります。
一時的な色素沈着を起こすこともありますが、適切な治療を行うことで、傷跡がきれいに治ります。
赤みやヒリヒリ感などの痛みが出ているなら、すでに中程度以上のやけどと言ってもいいでしょう。
また、真皮の深層部分にまで到達しているやけどは、約3週間以上と治すにも時間がかかります。
範囲が広い場合は、手術が必要になる場合もあるでしょう。
高温の熱に長時間触れたことによる皮膚の損傷は、「Ⅲ度熱傷」のやけどです。
Ⅲ度熱傷のやけどの表面部分は白く硬くなり、損傷は皮下組織にまで到達していて、皮膚の再生は難しく、手術が必要になります。
また、やけどの範囲が広いと熱傷性ショックが起こる可能性があり、死に至る原因ともなりますので、救急処置が必要になる場合もあるでしょう。
水ぶくれは、やけどによって皮膚が傷つき、表皮内やその直下でタンパク質や水分などが混ざり、透明な液体が溜まることによってできます。
透明な液体によってできた水ぶくれは、傷の修復を促進するものなので、破かずに保護しましょう。
「やけどをしてしまった時に、どのように応急処置を施した方が良いのか」「水ぶくれができた時には、どのように対処したら良いのか」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
この章では、以下の5つの対処法について詳しく説明します。
また、以下関連記事もぜひご参考ください。
やけどの応急処置について
やけどの処置について
まず、やけどをしてしまったら、すぐに患部を流水で冷やすようにしましょう。
少なくとも20〜30分ほど患部を流水で冷やすことによって、痛みを抑えるだけでなく、やけどの症状を促進するのを抑える効果もあります。
子供がやけどした場合には、よく観察する必要があります。
特に子供は、どこをやけどしているかわからない状態になることもあり、患部を把握していない場合があります。
大人であっても、やけどした部位がわからない場合があり、患部が衣服の下に隠れている場合もありますので、やけどの範囲をしっかりと確認する必要があるでしょう。
先述したように、水ぶくれは傷の修復を促進するために必要なものですので、破かないようにしましょう。
ただ破れてしまっても、その後早めに適切な処置を行えば問題はありませんので、早めに医療機関を受診しましょうう
やけどによって、患部が腫れる可能性があります。
指輪をつけている指がやけどをして腫れてしまうと指輪が外れなくなることもあります。
身につけているものが、やけどの腫れによって、患部を圧迫してしまわないように早めに取るようにしましょう。
やけどは、少しでも不安がある場合は自己判断せずに、クリニックや病院に受診しましょう。
適切な処置をしなかったために、完治まで時間が長引いてしまったり、傷跡が残ってしまったりすることがあります。
痛みがなかったり、大したことのない熱源によるやけどだと軽く考えてしまい、患部が重症化してしまうケースもあるので、やけどしてしまった場合は医師に相談してください。
特に低温熱傷などは必ず受診しましょう。
必ず受診した方が良い理由として「冬に注意したい低温やけど(低温熱傷)の症状と対処法」という記事をご覧ください。
実際にやけどしてしまった時に病院ではどのような処置が施されるのでしょうか?
熱傷の程度ごとに詳しく説明していきます。
傷跡を残さずに、早く治すために処置が必要です。
I度熱傷の場合、表面の炎症を抑えるための薬を用いながら、皮膚が再生するためのケアをします。
水ぶくれができてしまっている場合、皮膚のバリア機能もこわれているので、細菌による感染症を防ぐ必要があります。
そのため、患部を洗浄したり、抗生剤の塗布などの処置が行われます。
時間が経ってから熱傷が悪化する可能性もあるので、よく観察しておく必要もあるでしょう。
浅いII度熱傷時に効果的なフィブラストスプレーについての記事もぜひご参考にしてみてください。
「フィブラストスプレーの特徴」
深いII度熱傷・III度熱傷の場合、皮下組織にまで及んでいる熱傷と言えますので、表面だけのケアでは不十分です。
深く熱傷した部分の組織が死んでしまっていることもあるため、死んでいる組織を取り除く必要があります。
死んだ組織を放置しておくと、細菌による感染症や皮膚の再生が遅れてしまいます。
死んだ組織を取り除くために、場合によっては皮膚の移植手術が必要になることもあるでしょう。
よく医師と相談しながら、処置を進めてください。
実際に、熱傷による傷跡と治療後の様子を2つの症例からご紹介したいと思います。
病名 | 右大腿熱傷後未成熟瘢痕 |
治療内容 | きずあとのケア(バイオイル、エンビロン、ハイドロキノン、シナール内服) |
治療期間・回数 | 受傷後約1年間、3ヶ月に1回の通院 |
参考治療価格(自由診療) | 総額20,000円~50,000円(診察代、ケア用品費用等を含む) |
リスク・副作用 | 赤み、かゆみ、ほてり、乾燥、腫れ、ニキビ、白斑、色素沈着など |
病名 | 右前腕熱傷後瘢痕 |
治療内容 | きずあとのケア(エンビロン、ハイドロキノン)、色素レーザー(ロングパルスNd:YAGレーザー5回) |
治療期間・回数 | 約2年間、2ヶ月に1回レーザー治療 |
参考治療価格(自由診療) | 総額70,000円~200,000円(診察代含む、ケア用品費用等を含まない) |
リスク・副作用 | 水ぶくれ、痂疲形成、痛み、赤み、腫れ、あざ、出血、熱傷、発疹、瘢痕、色素脱失、色素沈着など |
本記事では、やけどを負ってしまった時や水ぶくれができた時の対処法をご紹介しました。
やけどは、主にⅠ度熱傷・II度熱傷・Ⅲ度熱傷と3種類の程度によって分けられ、水ぶくれができるほどのやけどは、「II度熱傷」に分類されます。
熱傷の程度によって、応急処置方法が変わりますが、場合によっては手術が必要になることもあります。
軽いと思っていたやけどが、実はII度熱傷・Ⅲ度熱傷などの重症であるケースもありますので、やけどを軽く見ずに、病院やクリニックに受診して医師に診てもらいましょう。
やけどについて、さらに詳しく説明している「診療内容:やけど」もぜひご覧ください。